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December 07, 2004

ハリーポッターと魔法瓶

魔法瓶って,言い過ぎじゃないか?たかがお湯を冷まさないだけじゃないか.魔法とは言わんだろう.それとも,この瓶が考案された時は,画期的だったのか?

「部長,凄い物が出来ました.」
開発者は,発明品を持って部長の部屋へ駆け込んできた.
「何かね.下らん物だったら困るよ.」
部長は椅子に座ったまま,つまらなそうに開発者を見上げた.
「実はですね,この中にお湯を入れると….」
開発者は発明品にニコニコしながらお湯を注いだ.
「それがどうしたのかね?またつまらん物を作りおって.君の開発には冗談で済まされない額がつぎ込まれているのだぞ.」
「これで2時間程待っていただけますか?」
「こっちも忙しいんだよ.待ってもいいが,大したことじゃなかったら君の首が飛ぶから覚悟しなさい.」
-----2時間後-----
「ところで部長,お茶飲みませんか?」
「もう2時間経っとるぞ.辞める覚悟は出来ているね?」
「それでは,私と飲む最後のお茶だと思ってお付き合い下さい」.
急須にお茶の葉を入れ,自信満々に発明品から液体を注ぐ.
「2時間前の冷めたお湯でお茶なんか飲む気なんかせん!今すぐ荷物をまとめて….って,えっ?」
発明品から注がれる液体からは上がる湯気に目を見張る.冷めたはずのお湯から湯気が上がっているのだ.
「まさか,この湯気は….どういうことかね.2時間前のお湯はまだ熱いのかね?」
開発者は無言で部長に淹れたお茶を差し出す.部長は一口すすり,驚愕した.
「あちっ.何だこれは.まだ熱いじゃないか?どうして,どうして….説明したまえ!」
「これが私の発明です.」
開発者は誇らしげに答えた.
「奇跡だ.奇跡が起こった.ここに神が舞い降りた.熱い熱いぞ.お湯が熱いぞー.」
興奮し,お茶が熱いことを忘れて一気に口に含み,お茶を噴き出した.
「おお.熱いことを忘れておった.ところで,この発明品の名前はもう決まったのかね?」
口の中を火傷した部長.しかし,興奮は収まらない.
「是非,部長が名前を付けてください.」
「神の瓶で,神瓶.いや違う.奇跡瓶.これも違う.うーむ.何か違う.」
「部長!魔法がかかっているようなこの発明品にいい名前を.」
「魔法だと?そうだ魔法だ.魔法瓶だ!これでどうかね?」
「素晴らしいです.魔法瓶と呼びましょう.」
二人は魔法瓶こと発明品を高々と掲げ,部屋の中でスキップしながら歓喜の声を上げた.
「うっひょー.うっひょー.うっひょー.」
高々と掲げられた魔法瓶からは,熱湯が興奮冷めない二人にいつまでも降り注いだのあった.

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Comments

おお!!
興奮までも冷まさない、これぞ「魔法瓶!!」

昔は中がガラスでしたよね~。
て・・・JC若鶏さんはご存知の世代でしょうか?

Posted by: クレオ | December 07, 2004 at 08:54 PM

おもしろい小芝居^^
お邪魔しにくるのが楽しみになりました。

Posted by: ちろりん | December 07, 2004 at 09:21 PM

クレオさん
うーん,分からない世代かもしれません.あっ,中が鏡みたいになっているのは分かりますけど.

ちろりんさん
多分,発明した時ってこんな感じじゃないかと.まあ,実際も当たらずとも遠からず,かなあ.

Posted by: JC若鶏 | December 07, 2004 at 10:50 PM

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