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January 26, 2005

優しさの正体

例えば,とても優しい人がいたとしよう.その人がいかに優しいかを他の人に伝えたい.どう伝えれば良いだろう.これが「背が高い」,「太っている」などの場合ならば,伝えるのは簡単だ.
「山田ってさあ,150kgも体重があるからブーちゃんって呼ばれているんだよ」
「あそこの家の子供は150cmあるんだよ.まだ3歳なのに」
優しさの場合,尺度がないからこう簡単にはいかない.やはりエピソードなり喩えなりを交えて伝えるのが良いだろうか.
「ユミ,聞いてよ.ミサの彼って,ちょー優しいの.この前なんか,ミサの鼻毛を綺麗に切ってくれたのー」
これは優しいのだろうか.さっぱり分からない.ミサとやらが,ユミとやらに自分の彼氏の優しさ自慢をしたいのは分かるが,それ以外はさっぱりだ.ここは,誰もがやさしいと思うエピソードや喩えの方がよいだろう.ミサの優しさ基準では,伝わりにくい.一般的な優しさ基準を例を挙げるならこんなところか.
・雨に濡れた子犬を連れて帰って拭いてやる
・毒蛇に咬まれた傷口から毒を吸い出す
・生まれたてで立てない子鹿に安易に手を貸さない
・森を歩くと小鳥やら子リスが集まる
・老人の手を引いて横断歩道を一緒に渡る
よし,ミサ,これでもう一度だ.
「ユミ,聞いてよ.ミサの彼って,ちょー優しいのよ.どのくらい優しいかっていうと,雨に濡れた子犬を連れて帰って拭いたりしそうだし,ミサが毒蛇に咬まれても毒を吸い出してくれそうなの.でもね,生まれたての子鹿が立てなくても安易に手を貸さない厳しい優しさもあって,野生の掟を知っているっていうかー.それでね,森を歩くと小鳥とか子リスが……」
ああっと,ストップだ,ミサ.ユミが話に飽きて携帯電話を弄り始めている.話を聞けば彼の優しさが伝わるかもしれないが,ユミは最後まで聞いてはくれない.長すぎる.ばっさり短くしよう.
・捨て犬を拾う
・傷口から毒を吸い出す
・子鹿の力を信じる
・森の小動物が集まる
・老人に親切
「ミサの彼って,ちょー優しいのよ.捨て犬拾うし,毒蛇に咬まれた傷口から毒を吸い出して,子鹿の力を信じてるの.森を歩けば小動物が集まるし,老人にも親切なのよ.それでね,この前なんか,…」
あっ,これでも駄目だ.またしてもユミが携帯を弄り始めた.もっとばっさり短く.頑張れミサ.
「ミサの彼って,ちょー優しいの.だってさあ,毒老人なのよ」
いや,それは短くしすぎだろ,ミサ.

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