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December 29, 2005

ヘーゼルカー

チョコレートを食べていたら,原料名に「ヘーゼルナッツ」と書かれていた.何だろう,ヘーゼルナッツというのは.これまでの自分の人生で色々なナッツに出会ってきた.ピーナッツ,カシューナッツ,マカダミアナッツ,…….勿論,その時に初めてヘーゼルナッツという名前に出会ったわけではない.聞いたことくらいある.しかし,よく考えてみたらヘーゼルナッツの実物を見たことはないような気がする.他のナッツに関しては実物を見たことがあるが,ヘーゼルナッツについては記憶にない.
どんな物なんだろう,ヘーゼルナッツというのは.

赤坂の高級料亭に集まった常連の食通達.料亭の主人の連絡で集まった食通達だ.
料亭の主人が食通達に向かって言う.
「えー,本日は1メートル程の天然の鯛が手に入りまして……」
騒然とする食通達.
「そ,それじゃあ,ヘッ,ヘーゼルナッツも取れるのか」
「はい,勿論その鯛からヘーゼルナッツが取れました」
歓声を上げる食通達.幻の天然物のヘーゼルナッツ.1メートル以上の鯛の眉間にできるコリコリした部分だ.

二日間ボーキサイトをぬるま湯に浸した後,1週間日陰に干す.干したボーキサイトを塩の中に5年間埋めておく.最後に,塩から取り出したボーキサイトを手軽な大きさに砕くとヘーゼルナッツの出来上がり.お客様にも喜ばれる一品です.

虫垂炎で入院したタロウ君.手術後の経過も順調だ.
「先生,僕,いつになったら退院できるの」
「もう少しの辛抱だよ.ところで,オナラは出たかい」
「ううん,まだだよ.でも,ヘーゼルナッツは出たよ」
「本当かい.それはよかった」

ツネ夫に最新ゲーム機を自慢されたのび大は,いつものようにノラえもんに泣きつく.
「ノラえもーん,ツネ夫の持っていた最新ゲーム機欲しい,欲しい」
「人の持っている物をすぐ欲しがる.君の悪い癖だよ,のび大君.いくら僕だからってそんなゲーム機もっていないよ」
「嫌だ,嫌だ,欲しいったら,欲しいんだい」
「仕方ない.じゃあ……」
「何か出してくれるの」
「ヘーゼルナッツ」
「何だい.それは」
「これを美味しく食べて嫌なことは忘れよう」
大人には嫌なことは解決しないで忘れるという手もある.ヘーゼルナッツを受け入れることで,のび大は大人の階段を一段登ることになるだろう.

大晦日の夜,お地蔵さんに笠をかぶせたお爺さんと,その話を聞いたお婆さんは,お腹は空いていたけれど,幸せな気持ちで眠りました.
元旦の朝,お爺さんとお婆さんは家の外から聞こえる,物を引きずる音と「うんせ,うんせ」という声で目が覚めました.窓から外を見たお婆さんが驚いてお爺さんを起こします.
「お爺さん,起きて下さいよ」
「何だい.婆さん」
「ほら,外を見てくださいよ」
お爺さんが外を見ると,山と詰まれたヘーゼルナッツがありました.

ナッツぎっしり.確かな満足.

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December 27, 2005

巻き網手帳

定置網漁業を営む北村ハジメ(52歳)の朝は早い.夜も明けぬ2時半に家を出て港へ向かう.
「それじゃあ,行ってくらあ」
「ちょっと,あんたこれ忘れ物」
妻のトメコが持ってきたのは,巻き網手帳.警察官に警察手帳,高校生に生徒手帳があるように漁師には巻き網手帳がある.この手帳は漁師の身分証明書であると同時に,一人前の漁師である証だ.
「おおっ,悪いなあ」
「気を付けとくれよ」
「改めて,行ってくらあ」

北村の漁は,漁師同士の情報交換で始まる.港の詰め所に集まった漁師仲間と昨日の漁について話し合う.昨日の漁獲量,潮の流れ,魚の群れの動き.北村はその会話を聞きながら自分の魚に対する想いを巻き網手帳にメモする.「どうして魚は泳ぐのか」,「マグロは何故美味いのか」,「平目は何故変な形なのか」.
「北村さん,聞いてんのか」
「あっ,ああ.すまねえ.何だっけか」
「また,巻き網手帳に書いてんですね.一回その手帳見せてくださいよ」
「それはいけねえよ.これは見せらねえよ」
「この港No.1の秘密って訳ですね」
北村はこの港No.1の漁獲量を誇る漁師.この港の漁師達の間では,いつも北村が何かを書き込んでいる巻き網手帳は,漁の秘密が書かれているのだろうという噂になっている.
「まあ,巻き網手帳の話はいいじゃねえか.それじゃあ,今日も最後に例のやつ,いくぞ.声を合わせろよ.せーの,魚,満載」
漁労長の号令に続けて,皆が声を合わせる.
「魚,満載」
漁師達は,詰め所から出てそれぞれの船に向かう.

北村の船には既に息子のショウゾウが乗り込み,出港の準備をしている.
「おう,ショウゾウ,遅くなったな,行くぞ」
「親父,もう準備できてるよ」
「じゃあ,すぐに出してくれ」
汽笛を上げて出港する船.船を操る息子を見ながら,ブツブツ呟きながら理想の魚の絵を巻き網手帳に描く.「このヒレがシュインとなってて水を切るんだよ」,「この目が凄くいいんだよなあ」,「シュワッと速く泳ぐ尻尾の力強さ」.
「親父,また巻き網手帳か」
「あっ,ああ.何か用か」
「いや,何でもねえ」
「そうだ.ショウゾウ,漁労長が言ってたけどなあ」
「うん」
「お前も,そろそろ一人前でいいだろうってな」
「ほっ,本当に……」
「お前も巻き網手帳だな.今度,鮫洲の巻き網センターで貰って来い」
朝日に照らしだされた息子の顔は,いつの間にか一人前の漁師の顔をしていた.

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December 23, 2005

おしゃれ手帳

警察手帳には何が書かれているのだろう.少し気になっている.やはり,「罪を憎んで人を憎まず」,「容疑者を連れて帰るまでが捜査」のような警察官心得が書かれているだろうか.それとも,他にもいろいろと書かれているのか.疑問は尽きない.

・交番勤務のちょっといい話
・制服着まわし術
・警視総監エッセイ
・今月の注目婦警
・科学の工作付録

ちょっとした雑誌の感がある警察手帳.来月号の表紙は伊藤美咲で25日に発売だ.

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December 22, 2005

秘密手帳

身分証明書としての手帳というのがある.警察手帳や生徒手帳などがそうだ.自分自身,このような手帳を持たない職業なので羨ましく思う.この身分証明書となる手帳がある職業というのは,結構多いのだろうか.

・漁師の巻き網手帳

・書道家のブンチン手帳

・大工の材木手帳

・パイロットのボーイング手帳

・美人女将の湯煙手帳

・ドイツ人のジャーマン手帳

・ハムスターの小動物手帳

それにしても,警察手帳には何が書かれているのか不思議で仕方がない.

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December 21, 2005

広辞苑を何となく見ていたら気になる言葉があった.
「力毛(ちからげ)」
意味は「強壮な人の胸・脛などに生える毛」とある.強壮な人だけに生える特殊な毛,それが力毛だ.私は,今までこのような特殊な毛の存在を知らなかった.
ひょっとしたら,他にも知らない毛があるんじゃないだろうか.

100mの世界記録保持者の足の裏には,毛が生えているという.世界一速い人間の証,「記録毛」だ.

家で飼っている犬は冴えない雑種だ.ちょっと音がしただけで尻尾を下げて犬小屋に逃げ込んでしまう始末.ところが,最近急に逞しくなった.隣の土佐犬も吠えるだけで,震え上がらせる.
おかしいなあと思って,犬をよく見たら肉球に毛が生えていた.冴えない雑種の勇気の証,「犬毛」だ.

岩手県のあるワカメの産地.ここで取れるワカメには,毛が生えている.栄養たっぷり「ミネラル毛」.確かなミネラルの証だ.
最盛期には,頭が少し寂しくなり始めたオジサン達が競って買い求めるという.

「おい,オヤジ.このラーメン,毛が入っているじゃないか」
「ほ,本当ですか」
「よく見てみろ,これだよ」
「おおっ,お客さん,ラッキーですなあ.これは,美味いラーメンに生えるという麺毛ですよ」
「えっ」
「いやー,私のラーメン作りここまで来ましたか.良かった,良かった」
そんな毛などない.オヤジに騙されるな.

近頃,コンタクトレンズを愛用していたが,不幸にも落として失くしてしまった.久しぶりに眼鏡をかけようとケースから出したら,眼鏡に毛が生えていた.
コンタクトレンズに対する眼鏡の妬み「眼鏡毛」だ.フレームからレンズまで,隙間無くもっさりと生える.

身近に迫る特殊な毛.気が付かないうちに,知らないところに毛が生えていることがあるのかもしれない.

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December 20, 2005

はじめ人間

今更という気もするが,「ぎゃふん」という言葉が分からない.「ぎゃふんと言わせる」,「ぎゃふんとなる」など「ぎゃふん」という言葉を使った表現はあるが,実際に,辛い目にあって「ぎゃふん」と言っている人を見たことがないし,どうしようもなくなって「ぎゃふん」となっている人も見たことがない.もちろん,今までの自分を振り返っても「ぎゃふん」と言ったことはない.
「ぎゃふん」というのは一体何なのだろう.きっと何かとてつもないような物な気がする.

茨城のある村の老漁師の話.
「雷が鳴った次の日は海に出ない方がええ.ぎゃふんが海から出てきて人間を食っちまうだ」
去年は3人ぎゃふんの犠牲になったらしい.

町内会の侘び茶仲間の山田さん.ついにぎゃふんを買ったらしい.
「ああ,羨ましい.素晴らしいぎゃふんですねえ」
「茶人として,床の間に一つは常備したいですよねえ.丸和さんもどうですか」
山田さんの茶室の床の間に飾られたぎゃふん.侘び寂びを醸し出している.

卒業式にみられる光景.
「先輩,制服の第二ぎゃふんを私に下さい」
「ごめん.実はあげる人を決めているんだ」
青春の甘酸っぱい一ページ.ちょっぴり切ないぎゃふんの思い出は,この中学生女子の心にいつまでも残ることだろう.

女性ファッション誌の今月の特集.
「冬の可愛がられ着まわしぎゃふん」

死んだお祖父ちゃんのお葬式.遺影の前で手を合わせると,お祖父ちゃんとの思い出が蘇る.
お祖父ちゃんと並んで縁側で日向ぼっこしていた時のこと.お祖父ちゃんが突然「ゲホッゲホッ」と咳き込んだ.「お祖父ちゃん,大丈夫」と背中をさすると,何かがお祖父ちゃんの口から何かが出てきて,素早く庭の茂みに隠れた.呆然と見ているとお祖父ちゃんは言った.
「ああ,コウスケ.気にせんでいい.ぎゃふんが落ちただけじゃ.いつかは,みんなこの時が来るんじゃ」
今から考えるとぎゃふんが落ちてから,お祖父ちゃんは体はみるみる悪くなった気がする.

結局何だかよく分からないぎゃふん.明日の朝はヨーグルトに入れて食べてみようと思う.

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December 13, 2005

お知らせ

※お知らせ
12/13(火)からフィンランドへ出張するため,今週は更新を休ませていただきます.
次回更新は12/19(月)の予定です.風流韻事は通常通り12/17(土)に更新する予定です.よろしくお願いします.

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December 10, 2005

チキンカツラ

明らかにそれだと分かるカツラをかぶっている人を見ることがある.そんな人達は,どういうつもりでカツラをかぶっているんだろう.ひどい人になると不自然な程に頭がこんもりとしており,ハゲとかフサフサとかの問題以前に人の頭として問題があると思う.ひょっとして何かギミックでも仕込んでいるんじゃないのか.

忘年会シーズン真っ只中.終電を逃してタクシーの列に並ぶサラリーマン達.どう見てもカツラの山田課長と部下の丸和さんも,そんなサラリーマンの一員だ.
「寒いですね,山田課長.タクシーに乗る順番までまだまだですよ」
「すまんなあ,丸和君.明日は朝から予定があるんだ.ちょっと先に帰らせてもらってもいいかなあ」
「えっ,どうやって帰るんですか」
丸和さんが見つめる中,山田課長のカツラが頭に載ったまま回転を始め,そのスピードは徐々に速くなる.
「えっ,あっ,それどうなって……,えっ」
やがてヘリコプターのように浮き上がる山田課長.
「じゃあ,そういうことで先に失礼するよ」
「えっ,いや,どういうことですか」
夜空の星々を背に手を振る山田課長.
「丸和君,また来週なあ」

忘年会での出来事.いつもは大人しい丸和さんが酔った勢いで,カツラ疑惑のある和田部長の頭をパーンと引っ叩いた.静まり返る忘年会会場.
「丸和君,何てことをするんだ」
響く和田部長の怒鳴り声.しかし,それに続くのは訳の分からない言葉.
「ハズレだ.そこじゃない」
更に和田部長は佐藤さんに向かって言う.
「佐藤君,君,私の左肩を叩いてくれたまえ」
「は,はあ」
釈然としないまま,和田部長の左肩を叩くと勢い良くカツラが飛び上がる.
「おおっ,佐藤君,アタリだ.ボーナスは期待してくれたまえ」
黒ヒゲ危機一髪のような和田部長のカツラ.
「丸和君,君はハズレだからボーナスなしだ」

電車が揺れた時,運悪く隣に立っていた紳士の頭に手が当たって床に落ちるカツラ.
「君,何ということをしてくれたんだ.拾ってくれたまえ」
拾い上げたカツラの内側に書かれていた文字は「自毛」.
「そういうことだ.気を付けてくれ給え」

電車の中で見かけたカツラの人.飛んでいたハエがカツラに止まった.しかし,気が付いたらそのハエがいなくっている.何故だろう.
彼の頭に載っていたのは,カツラでなく,ウツボカツラ.ハゲ頭に生えるという食虫植物だ.恐らく,本人は頭にそんな植物が載っていることなど気が付いていない.最近増えてきたなあくらいにしか思っていないはずだ.

自分がカツラをかぶることになったら,ギミックを仕込んでおきたい.

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December 09, 2005

味好み

お好み焼きに対して何なんだよという思いがある.ご存知のこととは思うが,お好み焼きとは,水で溶いた小麦粉にキャベツや豚肉,エビ,イカなどを混ぜて焼いて作る食べ物だ.個人的には,キャベツや豚肉に対して特別な思いはない.はっきり書いてしまえば,とりわけ好みの食べ物ではないし,水に溶いた小麦粉と混ぜて焼いたからといって好きな食べ物になるわけでもない.好みの物を焼いた訳ではないので,その食べ物を「お好み焼き」と呼ぶのは抵抗がある.本当の意味での「お好み焼き」は別にあってもいいのではなかろうか.

学校で一番かわいいと評判のヨシエさん.下校しようと下駄箱を開けるとプーンと干しエビや切りイカの香りが漂うのはいつものことだ.学校中の男子から送られたお好み焼きが下駄箱に詰められている.好きな人への思いを小麦粉に混ぜて焼いたお好み焼き,青春の一ページだ.

六本木ヒルズに新しく入ったお洒落なお好み焼き屋.ブランド大好きなヤングOLに大人気だ.店内の鉄板の上で焼かれているのは,バックやファッショナブルな服,コスメグッズだ.ヤングOLの好みのブランド品を小麦粉に混ぜて焼いたお好み焼き.店内に漂うバックやコスメが焼けた香ばしい香りで,ヤングOL達の腹の虫が鳴く.

毎年恒例の「抱かれたい男」のランキング.今年から新たな項目が増えた.「水で溶いた小麦粉に混ぜて焼きたい男」ランキングだ.ルックスだけにとどまらず,歯触り,コク,喉越しなども勝負の鍵となる真の男を決めるランキングだと有識者の間で評判だ.

小さい時から可愛がっていた熊さんのヌイグルミや超合金のロボット,ヒーローカードなど小さい時から好きだったものを水で溶いた小麦粉と混ぜて鉄板の上で焼くお好み焼き.大阪では,子供が大人の階段を一段上る儀式として成人式の日に伝統的に焼かれている.関西人なら誰しが経験するちょっぴり切ないお好み焼き大会だ.

豚肉やイカなどを混ぜて焼くお好み焼きと比べて,どちらが本当の意味でのお好み焼きであるかという話である.

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December 08, 2005

白いおいしさ

体操の種目「鞍馬」が分からない.馬の背のような形をした小さな台の上で,手だけで体を支えて足を回したり,ブラブラとさせたり,時にはヨチヨチと台の上を手で体を移動させる変な競技だ.鞍馬の選手が数ある種目の中からあれを選んだ理由も分からないが,もっと分からないのは世界で初めて鞍馬をやった人だ.何があってあんなことを始めたのだろう.

昔々,モンゴル帝国が全盛期の頃の話.その時代,牛や山羊の乳からバターを作る時は,乳からクリームを分離し,そのクリームを激しくかき回す作業全てが手作業で行われていた.大変な労働だったそうだ.そんな大変な労働だったが,効率よくバターを作る方法を考えた者がいた.モンゴルで「バターの父」と呼ばれるモゴタイである.乳を注いだ皮の袋を足首に結びつけ,牛の背の上に乗って両手で体を支えてクルクルと足を素早く回す.それを見た皇帝チンギス・ハンは,感動して鞍馬という名の馬を送ったという.今でもモンゴルの一部の部族では,この方法でバターを作っている.

江戸時代の話.勘兵衛という漬物職人は,漬物石を使わずに漬物を漬ける方法を考案した.漬物樽の上に乗って両手だけで体重を支えて勢いよく回ることによって重さをかける方法だ.時の将軍吉宗は,漬物樽の上で勢い良く回る勘兵衛を見て,馬のようだと賞賛し,その漬け方を鞍馬と名付けたという.その後,勘兵衛は吉宗から褒美として一生かかっても食べきれない量の味噌を貰い,いつまでも幸せに暮らしたそうだ.

アフリカ奥地の少数民族ンバホ族で伝説の英雄ソチャンマ.彼が狩りに出たとき,不幸なことにライオンの群れに襲われた.しかし,ソチャンマは英雄と呼ばれる男.ソチャンマは素早く襲い掛かるライオンの中の一頭の背中に飛び乗り,ライオンの背の上,両手で体を支えてクルクルと足を回して,襲い掛かるライオン達をかわし,時には回った勢いでライオンを蹴飛ばし,ついにはライオン達を追い払ったという.ソチャンマは,これを民族の言葉で,「ライオンの群れ」を意味する「アン」と「よける」を意味する「バ」を繋げてアンバと名付けた.現在,アンバは,ンバホ族のソチャンマを称える祭「ソチャンマ・ダムナ」でンバホ族の若者達が牛の上でクルクルと回る儀式として伝えられている

オリンピックなどでクルクルと軽快に回る体操選手.その裏にモゴタイ,味噌の勘兵衛,ソチャンマがいたことを忘れないで欲しい.

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December 06, 2005

ブルガリアのあの日

遥々ブルガリア出身の力士が,史上最速の19場所で大関に昇進した.遥々日本にやって来たかいがあるというもの.
「謹んでお受け致します.大関の名に恥じぬように稽古に精進します.本日はありがとうございました」と口上を述べながら浮かんでくるのは辛かった日々の思い出だろうか.

スーパーに並ぶヨーグルトの種類の多さに戸惑ったあの日

ヨーグルトでちゃんこ鍋を作って怒られたあの日

乳酸菌が足りなくて力が出なかったあの日

塩と間違えてヨーグルトを土俵に撒いて叱られたあの日

四股名が希望していた「琴乳酸」にならず悔しかったあの日

牛乳と間違えてマワシを乳酸菌で醗酵させてしまったあの日

醗酵させたマワシを漬物と間違えて刻んで食卓に乗せてしまったあの日

みんなが「美味い,美味い」と食べていたので言い出せなかったあの日

「ヨーグルトなんか嫌いだ」と言ってみたあの日

味噌をヨーグルトだと思い込もうとしたあの日

人知れずこっそり味噌を舐めたあの日

でもやっぱりヨーグルトを嫌いになれなかったあの日

日々の思い出と共に胸にこみ上げてくる何か.
もちろん,この話はフィクションであり実在の人物や団体とは関係ない.

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December 05, 2005

お花を大切に

会社に来たメールに「ざっくばらん」という言葉が書かれていた.個人的には久しぶりに見た.まあ,一般的には珍しい言葉というわけでもないと思うのだが,暫く見聞きしなかった言葉だ.メールの「ざっくばらん」を見ているうちに思ったのだが,何だろう「ざっくばらん」というのは.勿論意味は分かる.「遠慮ない様子,気さくな様子」という意味だろう.分からないのはこの「ざっくばらん」という言葉の語源.あまり日本語的でない響きを持つような気がする.どこからやってきたのだろう.

中世ドイツの貴族,ザック・バラン.彼は,当時の皇帝ルートヴィヒ4世に気さくに話しかけて処刑された伝説の紳士だ.皇帝に気さくに接し過ぎて処刑された彼は,民衆の心を掴み,「ざっくばらん」という言葉として残り,いつまでも民衆の心に生き続けたという.

「お前がやったんだな,いい加減白状しろ」
「だから,刑事さん,俺はやってねえって言ってんだろ」
「仕方ない.これだけは使いたくなかったんだけどな.ヤマさん,あれ持ってきてくれ」
ヤマさんが持ってきたのは自白剤「ザックバラン」.警察で自白剤として使用が認められている唯一の薬品だ.チューっと注射すると,たちまち気さくに自白する.
「刑事さん,マジ大変だったんだって.証拠とか処分するのってさあ」
ザックバランがあれば,どんな難事件もすっきり解決だ.

昔は山の中でよく見かけたが,今では見かけることが少なくなったバランの木.晩秋には,大きな実を付けるという.このバランの実をざっくざっくと一口大に切り,出汁で煮て作るバラン汁は,鹿児島の代表的な郷土料理の一つだ.地元では,ざっくばらんとも呼ばれ,親しい友達や親類が訪れてきたときに振舞われるという.

ケニアに住むマサイ族の言葉で「ざっくばらん」とは,「象の尻の筋肉の部分」の意味.それが何故日本語で「遠慮ない様子,気さくな様子」を意味するのか.それは分からない.

件のメールの差出人は会社の人事.「来年度の新入社員と先輩社員の語らいの場を設けたから,ざっくばらんに新入社員と語らえ」との旨のメールだった.勿論このメールでの「ざっくばらん」の意味は,「気さくに話過ぎて内情を暴露しちゃいけないよ」という本来の意味ではない意味が含まれていることは分かっている.ザック・バランと同じ道を歩まないように気をつけたい.

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December 03, 2005

彼氏彼女の手錠

ニュースなどで捜査員に連行される容疑者の映像を見ると,手錠をされているであろう部分にはモザイクがかけられている.何故モザイクがかけられているのだろう.テレビで放送できない事情でもあるのだろうか.

「さあ,覚悟は決まったか.行くぞ」
捜査員が容疑者の住むアパートから容疑者を連れて出て行くと,待ち構えていた報道陣が一斉にカメラを向ける.しかし次の瞬間,報道陣の中で誰かが大声を上げる.
「おい,これは駄目だ.モザイクをかけろと局に伝えろ」
容疑者にはめられた手錠には毛が生えている.勿論,青少年の育成に有害でテレビでは映せない毛だ.うっかりポロリと放送してしまおうものならPTAから抗議の電話が殺到する.

「何故来たか分かっているな」
捜査員は容疑者に向かって言った.
「知らねーよ」
「ほら,手錠をかけるから手を出せ」
手錠を取り出す捜査員.
「ちょっと,待て,その手錠はなんだ」
捜査員が取り出したのは,モヤモヤした何か.
「知らないのか,本物の手錠はこうだぞ」
テレビに映し出される手錠にモザイクがかけられていると思われる映像,実はモザイクなどかかっていなかった.あのモザイクの正体は手錠そのものだ.容疑者の手にもやっとした物がかけられる.手首に絡みつく何か.

「何故来たか分かっているな」
「知らねーよ」
「ほら,手錠をかけるから手を出せ」
「出さねーよ」
容疑者に構わず手錠を取り出す捜査員.
「この手錠はなあ,お前を逮捕するにあたって,お前のおっかさんに作ってもらった手錠だ」
「えっ」
「お前の実家まで行って,頼んで作ってもらったんだ.おっかさん,泣きながら作ってたぞ」
「ううっ.おっかあ,すまねえ」
母さんの手作り手錠.容疑者は泣きながら両手を差し出す.

「何故来たか分かっているな」
「知らねーよ」
「ほら,手錠をかけるから手を出せ」
手錠取り出す捜査員.
「ちょっと,待て,その手錠はなんだ」
捜査員が出した手錠は,輪と輪を結ぶ鎖がハムスターになっている.一匹のハムスターが両手で片方のリングにつかまり,両足でもう片方のリングにつかまっている.つかまった手錠から落ちないように必死だ.心なしか,プルプルと震えている.
「これは,ハムスターのハムちゃんだ」
「えっ……」
「ハムちゃんは,交通課の山田さんのところの兄妹が可愛がって育てているペットだ」
「はあ」
「今回は,その子供達に黙って持ってきた.お前が暴れるとハムちゃんが下に落ちる仕組みだ」
「……」
「ハムちゃんが死ぬだけじゃない.子供達もさぞ悲しむことだろう.まあ,こういう仕組みになっていることは一般の人には秘密なんだがな」
どんな凶悪犯もこの手錠をかけられると大人しくなる.

色々な事情でテレビで映せない手錠.個人的には毛が生えている手錠が一番あ怪しいと思う.

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December 02, 2005

鳩よ

最近,街で見かける鳩の数が減ったような気がする.このところ鳩に餌やりを禁止する自治体が増えているのだが,その効果が現れているのかもしれない.
しかし,問題はいなくなった鳩だ.減った分の鳩はどこへ行ったのだろう.

新しく六本木ヒルズに入ったお洒落なイタリアンレストラン.内装から料理,客に至るまで全てがお洒落だ.各テーブルに置かれた店員を呼ぶためのベルも押すと「ボー,ボー」と控えめな音がして,普通のベルよりも高級感がある.それもそのはず,呼び出しベルに鳩が使われているからだ.

テレビショッピングで買ったお買い得な高級羽毛布団が家に届いた.通常,羽毛布団二組で一万円のところ,四組で一万円のお買い得な羽毛布団だ.ところが,実際使ってみると何だかゴワゴワしている.おかしいと思って,カバーを外したら中に鳩がみっちり詰まっていた.何だか騙された気分だ.

益々通信速度が速くなるインターネット.光でも間に合わなくなってきた.通信業界では,その打開策として伝書鳩を使った通信が見直されてきている.有識者の間では,光を使った通信より速いと専らの評判だ.既に,部分的に導入されているという.
端末(PC)--○←鳩→○--サーバ

近所のコンビニエンスストアに新しく入ってきたアルバイト店員は少し変わっている.歩くたびに首が前後に動くし,時々独りで「ボー,ボー」と呟いている.恐らく,その店員の正体は行き場を失った鳩なんだと思う.

半分が優しさでできていると評判のあの薬.最近はコスト削減のため,優しさをやめて鳩を使っているという.

既に日常に入り込んでいる鳩.もう鳩なしの生活には戻れないところまで来ている.

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