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June 29, 2006

ファミコン通勤

益々難解になってゆくファッション雑誌の煽り文句.電車の中吊り広告で見たファッション誌JJの特集は「『モテる』は卒業!『愛される』夏服」ということらしい.何だかよく分からないが,モテる服とか愛される服とかそういうあれか.そして,さらに中吊りには「『プリ通』なら"余裕の夏"」とある.プリ通とは,プリンセス通勤の略らしい.電車で通勤するプリンセス.それは本当にプリンセスなのか.
ともかく,今年の夏服は「モテる」ではなく「愛される」ということらしい.これは,ファッション業界としては,時代の流れに大きな変化があったということなのだろうか.恐らく,一般人の知らないところで壮絶なる交代劇があったのだと思う.裏にあったのは,ファッションの職人たちの知られざる戦い.

今一番ホットなファッション業界の巨匠といえば,モテ服の権威,豆山順蔵(76),通称「モテ順」と,愛され服の生みの親,逆鉾銀次郎(76),通称「愛され銀次」だ.共に若い頃からおしゃれ職人を志し,おしゃれ工房で腕を磨きあってきた良きライバル同士.おしゃれ工房の工房頭である,おしゃれ職人初の人間国宝,亀田源太の跡を継ぐのはどちらかであろうと専らの評判だ.

その二人の仲に亀裂が入ったのは今年の春.おしゃれ業界を二分する争いに進展するかと思われたが,亀田源太の口添えにより,モテ順と愛され銀次は,おしゃれ職人の伝統に従い,夏のトレンドをかけて河原でのおしゃれ合戦で対決することになった.

河原に佇むモテ順と愛され銀次.おしゃれ業界注目の一戦が始まる.
「おい,モテ順,ファッションに愛がなくていいのかよ」
「愛され銀次よ,遍くモテてこそのファッションだろうがよ」
入り混じるスカーフとキャミソール,絡まるジーンズとプリーツ.ぶつかるコーディネート,飛び散る着回し.激しい色使いの中にもふんわりとした肌触り.時に乙女のように,時に娼婦のように.モテ順と愛され銀次が繰り出す一撃は,トレンドという台風となり街のおしゃれ婦女子の服装を一変させる.
そんな死闘を制したのは愛され銀次.ワンピースが絡まったところをストッキングで押さえたのが決め手となった.
「おい,愛され銀次,今年の夏はおめえに譲るけどよ,来年の夏は俺のモテ服が席巻するからな」
「来年も俺の愛されは譲れねえよ」
戦いの終わった職人に心のわだかまりは既にない.モテ順と愛され銀次が硬い握手を交わす.
JJの特集が決定.「『モテる』は卒業!『愛される』夏服」.

来年の夏のおしゃれは,おしゃれ工房始まって以来の天才と呼ばれ,現在驚くべき成長を遂げつつあるプリ通松本が席巻することになるのだが,モテ順と愛され銀次は知る由もない.

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June 27, 2006

インドの宗教

膝の屈伸で筋肉を鍛えるヒンズースクワット.「スクワット」だけでも通じるのに,何故か頭に付く「ヒンズー」.いつも気になるという程気になるという訳でもないが,何だろう「ヒンズー」というのは.ヒンズーには,膝の屈伸運動のスクワットだけでは表せない何か重要な意味があるのだと思う.

憧れの先輩が陸上部で練習.
「1,2,3,4」
と仲間達と声を揃えてスクワット.女子生徒達は,校舎の影から熱い眼差しを送る.
屈伸をする度に,先輩の体操着の裾から顔を覗かせるヒンズー.ヒンズーが見えると上がる女子達から黄色い歓声が上がる.ヒンズーに溜まった汗が爽やかに太陽の光を反射してテラテラと輝く.
憧れの先輩は,ヒンズースクワット真っ最中だ.

「おばちゃーん,ヒンズースクワット一つ」
今日もさいたま市の定食屋に昼休みのサラリーマンの声が響く.この店の名物はヒンズースクワット.ヒンズーとは,オランダ語で「ライス」とか「米」とか「定食」とかそういう意味だ.勿論,ヒンズースクワットとは「スクワット定食」だ.膝の屈伸運動をおかずにご飯を食べる.食べながらにして体を鍛え,体を鍛えながら食べる.運動不足を解消し,かつ腹一杯.おばちゃんがサラリーマンの健康を思って考案したアイディア定食だ.

漁港の街,宮城県の気仙沼.ここへ行ったら必ず食べておきたい名物といえば,イカのヒンズー干し.獲れたてのイカにヒンズー味噌を塗って一晩陰干しした干物だ.七輪で炙れば,ヒンズー味噌の香ばしさが食欲を煽る.ご飯と食べるも良し,酒のつまみにするも良し.ねっとりとしたイカの食感と甘酸っぱいヒンズー味噌が奏でるハーモニー.気仙沼市民のソウルフードだ.

隣に住んでいる幼馴染の女の子,詩織ちゃん.小学生の頃から好きだったが,告白できずに今ではお互い高校生.軽口を叩いたり,たまに二人で遊びに行く関係.そんな彼女とは,友達以上ヒンズー未満.

ただのスクワットとは一線を画したヒンズースクワット.鍛えられるのは筋肉だけではない.

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June 23, 2006

釣りなし

今朝見たショッピングモールのチラシのイベント案内に「ウルトラマンセブンがやって来る」とあった.仮面ライダーがやって来るとか,サンバルカンがやって来るとかいう,この類のイベントに人は集まるのだろうか.個人的には人が集まるようには思えない.やって来るウルトラマンセブンは,エメリウム光線も出さないし,アイスラッガーも飛ばさない.ウルトラ感が全くないウルトラセブン.いうなれば,ただのセブン.例えるならば,「釣りバカ日誌」ではなく,ただの「バカ日誌」.「※カメラ持参」とチラシの隅にあったが,持ってきたカメラでセブンの何を撮ればいいのだろう.ウルトラのないセブンを呼ぶならば,他にもっと人が集まりそうな者を呼べばいいと思う.チラシだってもっと華やぐというものだ.

「でかいお婆さんがやって来る」
驚くほど大きなお婆ちゃんがやって来ます.そして活発に動きます.ご家族でお楽しみください.
※カメラ持参

「春日部店に春日部西店の店長がやって来る」
春日部店に隣の春日部西店の店長が暇をつぶしにやって来る!店長同士がお茶を飲みながら,どうでもいい世間話を繰り広げます.笑える話や,ためになる話もありません.
※カメラ持参

「質感豊かなおじさんがやって来る」
みっしり中身の詰まったおじさんが動く,跳ねる,舞台の上を右往左往!確かな質感を是非お子様にも!
※カメラ持参

「ちょっとしたお爺さんがやって来る」
ちょっとしたお爺さんです.ただのお爺さんじゃ物足りない,でも大げさなお爺さんは困るという方でも安心!気軽な感じでお楽しみいただけます.
※カメラ持参

とここまで書いて以前にも似たようなことを書いた気がして調べてみたら,ほとんど同じような記事を発見.セブンをバカ日誌と呼んでしまったが,バカ日誌は自分の方だった.

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June 21, 2006

良かったり良くなかったり

おにぎりと漬物とか味噌汁とか,そんな物を食べて「日本人に生まれて良かった」と言う人がいるが,それはどうなんだろうと思う.いや,言っている人に文句がある訳ではない.ちょっと心に引っかかるものがあるだけだ.やはり,ドイツ人ならば,ソーセージを食べて「ドイツ人に生まれて良かった」と言ったり,ブルガリア人ならば,ヨーグルトを食べて「ブルガリア人に生まれて良かった」と言ったり,イヌイットならば,アザラシを食べて「イヌイットに生まれて良かった」とか言うのだろうか.
日本人に限らずとも「……で良かった」という瞬間はあると思う.

眼下に広がる雲海.山頂に着いた登山家は背負った荷物からおにぎりときゅうりのアルペン漬を取り出す.登山家名物きゅうりのアルペン漬け.ちょっぴり苦味の効いた山の味だ.おにぎりを片手にきゅうりのアルペン漬けを齧る.「登山家やっていて良かったなあ」と思える瞬間だ.
コリコリとアルペン漬けを齧る音と「登山家やっていて良かったなあ」の声が山々に響き渡りこだまする.

午後3時の休み時間.電化製品の生産ラインにも休憩時間がやってくる.抵抗やらコンデンサやらの電子部品をハンダ付けで疲れた体へ,工場長からのおやつの差し入れ.工場名物ハンダ餅だ.渋いお茶と,甘辛いあつあつのハンダ餅.「生産ラインで働いていて良かった」と思える瞬間だ.

ワールドカップの試合会場.試合終了を告げる笛の音.勝った嬉しさ,負けた悔しさに沸く観客達.そんな中,選手達はグラウンドを後にロッカールームにいそいそと戻る.試合後の選手達の楽しみ,オフサイド汁がロッカールームで待っているからだ.ワールドカップの出場選手にのみに与えられる栄誉ある汁.それを食べる選手達.
「ああ,うまい」
「何か,オフサイド汁ってお袋の味がするよな」
「おいおい,ヒデ,お前のお袋さんは何者だよ」
「あはははは」
ロッカールームに流れる和やかな空気.「ワールドカップに出られて良かったなあ」と思える瞬間だ.温かい湯気が疲れた選手の体を癒し,監督の心労を回復させる.これで明日も頑張れる.決勝トーナメントだって目指せる.全てはオフサイド汁のため.

学校でつらいことがあった日,部活でレギュラーに入れず悔しい思いをした日,ふられて落ち込んだ日.そんな日にはいつも家の食卓にお母さんが作ってくれた思春期飯があった.甘酸っぱく炊いたご飯に涙という塩味.みんな大人の階段を一段上る度に口にした思春期飯.「思春期で良かった」という気持ちと「早く大人になりたい」という気持ち.
あの頃の大切なもの失くしていませんか.

今更ながら,自分でも何が書きたかったのかさっぱり分からない.

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June 16, 2006

埴輪ハオ

楔形文字や「目には目を,歯には歯を」で有名なハンムラビ法典.「目には目を,歯には歯を」という文句を見ると,実はこの後に文章が続いているんじゃないかと思う.例えば「第65条 目には目を,歯には歯を」と法典に書かれているでは,法律として納まりが悪いような気がする.個人的には「歯には歯を」の後が失われているのだと思う.本当は後に何が後に続いていたのだろう.

「お父さん,お粥ができたわよ」
「すまないねえ,お前に苦労ばかりかけて」
「お父さん,それは言わない約束でしょ」
病床の父.そして,学校に通いながらも,バイトで貧しい家庭を支える孝行娘.見る者の涙を誘うシーンだ.しかし,実際のところは,お父さんは毎日お粥ばかりで飽き飽きだ.そんなお父さんがさり気なく枕元に置くのはハンムラビ法典.
「目には目を,歯には歯を,ビールには枝豆を」
赤いペンでアンダーラインを引き,さり気無く要求.娘の中で我慢していた何かが切れる瞬間だ.

肉じゃがを前に悩むお母さん.何か調味料を忘れている気がする.一味何かが足りない.
そんなお母さんを助けてくれるのがハンムラビ法典だ.
「目には目を,歯には歯を,味付けには醤油を忘れてないか」
肉じゃがに醤油を入れて一安心.夕飯の肉じゃがが完成だ.今日も家族の笑顔が食卓を囲む.ハンムラビ法典がうっかりママを強力サポート.

ゴールデンウィーク明けの職場.女子社員の一人がイメージチェンジ.ゴールデンウィーク前は,地味でおとなしい感じだった吉永さんが,セクシーで大胆な感じへと一転.何でもゴールデンウィーク中に読んだハンムラビ法典の影響を受けてしまったとのことだ.
「目には目を,歯には歯を,そして時には娼婦のように」
吉永さんの人生がハンムラビ法典で転機を迎える.

高校三年生の夏.仲の良い友達が集まって泊りがけの小旅行.夜中は,電気を消した部屋で布団に入って語り合う.
「おい,俺達,卒業したら,会うことも少なくなるんだよな」
「そうだな」
「俺達ってこれで良かったのかな」
「えっ,何が」
「いや,俺達の最後の夏がこれで終わっちゃっていいのかなあって」
「記念に何かできないか,ってことか」
「ああ,でっかいことを何かやらないか」
そんな語り合いの中,一人が布団から這い出し,カバンからハンムラビ法典を取り出して読み上げる.
「目には目を,歯には歯を,そして今年は俺達のエターナルサマー」
アツい夏はまだまだ続く.輝く太陽,青い海,そしてハンムラビ法典.ハンムラビ法典に青春をかける高三の夏.

長い歴史で大切な部分がかけてしまったハンムラビ法典.でも,僕達の心にハンムラビ法典の精神がいつまでも生きていると信じたい.

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June 14, 2006

てこの原理主義

てこの原理ってすごいと思う.ちょっとした力で重いものが動く,支点,力点,作用点とかで有名なあの原理だ.昔,これを発見した人は凄く興奮したことだろう.発見した日は夜も眠れなかったんじゃないと思う.相対性理論とか量子力学とかも凄いし,携帯電話とかパソコンなども凄く便利だと思うが,てこの原理と比べるとどれも足元にも及ばない.
便利だったり,凄い物があふれるこんなインターネット時代だからこそ,てこの原理の便利さをもう一度見直すべきなのじゃないだろうか.

寄せる荒波,巨大なうねり.そんな海に挑む男達がいる.てこの原理漁の漁師達だ.長い棒を海面に突き刺し,じっと待つ.棒の近くをマグロが通ったら,ぴょっと棒でマグロを持ち上げる.今では少なくなってしまったが,「真の海男」と漁師達から尊敬を集める漁師だ.失われ行く貴重な漁の技術.

青山にあるセレブ達御用達のフランス料理の名店.フランスの五つ星レストランで修行したシェフ,ショ松田の店だ.味のパリジェンヌの異名を持つショ松田.味の秘密は,てこの原理を利用した味付けだ.

業績がいまひとつぱっとしないある中小企業.コンサルタントの指導の下,業務改善に「てこの原理」を導入.みるみる増える利益,うなぎのぼりの株価.ちょっとした力の入れ具合でV字回復.社員の輝く笑顔,社長の溌剌さ.今,てこの原理を導入する企業が増えているという.

のどかな田舎にある老人ホーム.いつまでも元気で,長生きができると評判も良い.しかし,そこのおじいちゃん,おばあちゃんの半分は,てこの原理で動いているという.

てこの原理とそれを利用する人間.また逆に人間を利用するてこの原理.お互いが関わり合って社会を作っているんだね.

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June 09, 2006

ほのめかし刑事はみ出し派

ニュースなどで,容疑者が余罪をほのめかしたり,犯行をほのめかしたりしているという話を聞く.この「ほのめかす」という言葉を聞く度に気になるのだが,具体的にはどういうことのなのだろう.やっぱり,余罪や犯行をはっきりと伝えずに,それとなく伝えたりしたということなのだろうか.実際にはどのような感じなのだろう.

取調室に刑事と容疑者.
「おい,いい加減白状したらどうだ」
激しい刑事の追求に容疑者はついに話を始める.
「暗い空に瞬く星.星はみんなの夢.叶った夢が星になる.暗いお空で輝く夢.絶望という暗闇に輝く夢.……そして俺がやったのかもね」
自作の詩にのせてそれとなく伝える犯行.

容疑者が刑事に差し出す青いチューリップ.花言葉は「私がやったかもしれない」.

「おい,観念して話したらどうだ」
「やってないわよ」
「嘘をつくな,証拠は揃っているんだ」
刑事の厳しい追求に,容疑者が口を割る.
「いや,確かに,あたしがやったのかといえば,あ,あたしがやったかもしれないわよ.で,でも,あなたのためじゃないのよ.勘違いしないでよね」
思わぬツンデレに刑事も萌える.

容疑者が刑事の携帯電話を鳴らす.呼び出し音が5秒鳴ったところで電話を切る.呼び出し音5秒は,「私の仕業かも」を表すサイン.

刑事がとったカツ丼を食べる容疑者.
「これを食べたら,白状してくれないか.言い逃れはもう無理だぞ」
「刑事さん,カツ丼,ご馳走様でした」
容疑者が食べ終えた丼に残されたご飯.その上に醤油で書かれた「俺かもしれない」.人情刑事は醤油でほのめかされる.

容疑者のほのめかし.取調室で,もじもじとしたり,頬を赤らめたり,涙で枕を濡らしたり,味噌を練ったりしながら話す容疑者.ちょっとした思春期だ.


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最近,仕事が忙しいため更新頻度が落ちております.暫くは週3回くらいの更新頻度になります.居られるかどうか分かりませんが,更新を楽しみにしている方が居られましたら,すみません.これからもそれなりにがんばって更新していく所存にございます.よろしくお願いします.

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June 06, 2006

あんたギイ

「サーターアンタギー」なる食べ物は沖縄ではメジャーな食べ物なのだろうか.運よくというか,運悪くというか,名前を聞いたことはあるが,実物にお目にかかったことはない.サーターアンタギーとはどんな食べ物なのだろう.想像がつかない.第一,名前が食べ物らしい名前じゃない.何か別な意味があるような気がしてならない.沖縄の方言で何か意味を持っているということはないだろうか.

体育館の裏に憧れの先輩を呼び出して待つ思春期少女,若林こずえ16歳.そこへ走ってやって来た先輩.若林さんが意を決して告白.
「先輩っ,サーターアンタギー」
サーターアンタギー,沖縄の方言で「初めて会ったときから好きでした」を意味する言葉だ.先輩の答えは一つ.
「こずえちゃん,ちんすこう」
ちんすこう,沖縄の方言で「おれも前から気になっていたんだ」を意味する言葉だ.
先輩とこずえちゃん,これからはサーターアンタギーとちんすこうの仲だ.

短い制服のスカートの女子高生が階段を上る.下からちらりと見えるサーターアンタギー.あんまり見てると痴漢扱いされるぞ.

「キャー,誰か助けて」
婦女子のピンチ.そんなピンチに駆けつける生き物は,サーターアンタギーだ.沖縄の大いなる森,ヤンバルから駆けつける野人.昔は神として崇められた生き物だ.
沖縄人のピンチに駆けつけるが,別に何もしない偉大な神秘,サーターアンタギーだ.

黒ずむ小鼻の周りの毛穴.毛穴に詰まったサーターアンタギー.しっかりケアをしないともっと黒ずむぞ.

先週隣に越してきた,サーターアンタギーさん.アルメニアから来たちょっぴり憂いのある外国人だ.

本当は食べ物じゃないサーターアンタギー.食べ物のふりをして生活を乗っ取るつもりなのだと思う.

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June 02, 2006

毛根性

毛って本来何かから体を守るためにあるのだと思う.しかし,これはいったい何から何を守るために生えているのだろうと疑問に思わざるを得ない毛というのがある.それでもやはり何かから守る役目を担っていたり,役に立ったりするのだろか.

「おい,こら,今日こそは払ってもらうぞ.用意できてるんだろうな」
厳しい借金の取立て.もう今日は言い逃れできない.なんとかしなければ.苦し紛れに耳に生えていた毛をむしって封筒へ入れて差し出す.
「今日は,これしか用意できませんでした.これで許してください」
借金取りは差し出された封筒の中を検める.
「ちっ,これだけか.まあ,しかたねえ.次までに用意しとけよ」
咄嗟の耳毛が我が身を守る.

お客さんの入らない商店街のラーメン屋.老夫婦が細々と営む.長年何とか続けてきたが,ここまでのようだ.店先の「冷やし中華始めました」という貼り紙も虚しい.
そんな閉店の危機に老夫婦が知恵を絞って出した起死回生の一手は「わき毛生えてます」という店先の貼り紙.店先に並んだ「冷やし中華始めました」と「わき毛生えてます」という文字に誘われた客が店に押し寄せる.理屈は分からないが,亀の甲より年の功というやつだ.

突然,お義母さんが家へやってきた.お茶は用意できるが,一緒に出すお茶菓子がない.そんな,困り嫁の目に飛び込んできたのは指に生えている毛.すばやく抜き取りお皿に盛り付け,お茶と一緒にお義母さんにお出しする.
「あら,ヨシエさん,お洒落なお菓子ね.気が利くわね」
急場を凌ぐお菓子,指の毛.お茶に良く合う甘酸っぱさ.
「できた嫁を持つといいわねえ」
お義母さんも嬉しそうだ.

90歳になった頃からお祖父ちゃんの背中に毛が生えてきた.初めはうっすらと生えているだけだったが,95歳になる頃には,洋服が盛り上がってみえるようになった.そして100歳の今では,背中に毛の羽のようになっている.
天国へ旅立つのに準備が整ったようだ.

何の役にも立たなそうな毛.でもいざというときに頼れるのは,そんな毛だけなんだと思う.

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