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September 28, 2006

効果があるのか怪しい高濃度の酸素が溶けた水.詳しくは分からないが,消化器官から酸素を取り込むことができない人間には,水に酸素がどれほど溶けていようと関係ないと思う.しかしこれだけ大々的に売り出しているのだ,何も効果がありませんでは寂しい.
何か確かな効果があるんじゃないだろうか.

・耳たぶの柔らかさ
・ポルトガル人らしさ
・天と地による板ばさみ
・小動物への思いやり
・農作物への愛情

耳たぶがモチモチしたり,ポルトガル人に話しかけられたり,天と地の板ばさみに苦しんだり,子リスに優しくなれたり,インゲン豆の成長を喜んだりできる水.そんな不思議な水を作り出した人類.人間はまた一歩神の領域に近づいたのかもしれない.

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September 24, 2006

将軍の誠意

坂上田村麻呂.名前は知られているが,何故歴史に名前が残ったのかは,あまり知られていない人だと思う.歴史の授業では征夷大将軍となって蝦夷を討伐したと習ったが,いまいちピンとこない.「ああ,そうなんだ」という感想を持つだけで,「おお,そいつは凄い」という感想を持たない.
しかし,歴史に名前を残す程の人物.坂上田村麻呂は,裏で何か凄いことをやってのけているのだと思う.

「ぜひ,これをお納めください」
「いやいや,これは悪いねえ田村麻呂君」
お役所勤めの坂上田村麻呂.出世のためには,上司にお中元を贈るのは欠かせない.
「早速だが,中を見てもいいかなあ」
「どうぞどうぞ.是非」
包みを開ける上司.中身を見て笑顔がこぼれる.
「ハムじゃないか.本当にいい物をもらっちゃったねえ」
坂上田村麻呂は日本で初めてお中元にハムを贈った人物だ.ハムの見返りとして征夷大将軍の地位を獲得.
現代では当たり前のようにお中元やお歳暮に贈られるハム.もらって嬉しい,贈って嬉しい.そこにこぼれる笑顔.そんな笑顔の原因を作ったのは田村麻呂だ.

「ちっ,違うんだからねっ.別にあなたのために蝦夷を討伐したわけじゃないのよ.ちょ,ちょっと北の方が気になっただけよ」
「いや,感謝してるよ」
「あなたが感謝するのは勝手だけど……」
「本当,ありがとう」
「バカッ」
蝦夷討伐から京都に帰って来た田村麻呂.帰京の挨拶で天皇と交わした有名なやりとりだ.現代でいうところのツンデレだ.歴史上初めてのツンデレ将軍坂上田村麻呂.

田村麻呂の家へ急なお客様の訪問.何か気の利いた食べる物を準備しなければならないが,お米と魚くらいしか手元にない.
「ひょっとして酢飯に生魚の切り身を載せて食ったらうまいんじゃないか」
田村麻呂のちょっとした思いつきで,炊いたご飯に酢を混ぜて生魚の切り身と一緒に握る.準備の時間がなかったので,お客様の前で作ってその場で食べてもらう.握り寿司が誕生した瞬間だ.お客様は意外な料理に驚きつつも舌鼓を打つ.
「おっ,こいつはうまいねえ.粋だねえ」
「醤油を軽くつけて,つるっとやってください」
「いやこれはうまいよ.将軍」
「へへっ,ありがとうございます」
それから京都の貴族達の間で「うまい」と評判になるまで時間が掛からなかったという.

「うーん,今日はどの着物を着て出かけようかしら」
お出かけの時に着る物に悩むのは今も昔も同じこと.田村麻呂もそんな悩みを持つ一人だ.
「これは昨日着たし.どうしよう.悩むわねえ」
それなりに地位のある田村麻呂.毎日同じ服だと思われたら困る
「あっ,これはどうかしら.このニュートラルな黒を基本に袴と袍と帯を合わせて,この冠をアイテムにしたらどうかしら.あら素敵なコーディネートじゃない」
田村麻呂の秋のおしゃれ着回し術.武術に加えて新たな術を田村麻呂が身に着ける.そういえば,何かの雑誌でエビちゃんだか誰だかが,尊敬する人に坂上田村麻呂を挙げていた気がする.

その名に恥じぬ征夷大将軍.田村麻呂が征服したのは,蝦夷だけではないということだ.

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September 18, 2006

オシャレ泥棒

どうでもいいことだが,「街のオシャレ泥棒,正体は君だ」の使いどころを考えている.一度は使ってみたいと思っている言葉だが,どうにも使いどころがないような気がする.何とか使えないものだろうか.

「こちら,全部で980円です」
「じゃあ,これで」
「はい,千円のお預かりで,20円のお返しです」
よくあるコンビニエンスストアでの買い物風景だ.店員はにこやかに客お釣りを渡す.
「ありがとうございました.そして,街のオシャレ泥棒,正体はあなたです」
笑顔で店を出るお客さん.コンクリートジャングルで出会う心温まる客と店員の心の交流.

お葬式.お経を唱えるお坊さん.
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時……」
すすり泣く参列者.お経を唱えるお坊さん.
「……色即是空街のオシャレ泥棒正体は君だ空即是色……」
棺桶の中で静かに成仏する瞬間.

高級レストランで食事するオシャレな男女.ソムリエがワインをグラスへ注ぐ.
「お客様,こちらがご注文のワインでございます」
テイスティングする男.
「おお,このまったりとした味.たとえるなら街のオシャレ泥棒が喉をすべり降りて行くようだ」
グラスを置いた男は,女を見つめる.
「そのオシャレ泥棒,正体は君だね」
頬を赤らめる女.素敵なレストランでの素敵なワンシーンだ.

砂浜に書いた「街のオシャレ泥棒」の文字.
打ち寄せる波が文字をさらって別な文字を残す.
「正体は君だ」.

街のオシャレ泥棒.探しに街に出たけど家にいた.青い鳥と同じようなものなのかもしれない.

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September 12, 2006

カット泥棒

スーパーに買い物に行ったら,カットフルーツの実演販売をやっていた.これは,ちょっとどうだろうと思う.カットフルーツの実演販売の近くでは,マグロの解体実演販売.迫力あるマグロの解体の横で隠れるようにコソコソとマンゴーをカット.豪快に捌かれるマグロ.プラスチックの皿に盛られる切り身.一方,サクサクと普通に切り分けられるマンゴー.透明なプラスチックに詰められ小粋なプラスチックの飾り楊枝が刺される.
「魚売り場がその気なら,青果売り場の俺達も負けてられない」という心意気なのかもしれないが,完全に勇み足だ.マグロの周りには客が集まるが,フルーツの周りには客が集まらない.罰ゲームみたいなことになっている.ここは,他のカット実演も加えてカットセールみたいなものをやってみたらいいと思う.

「すみません.この豚肉のカロリーを30%カットしてください」,「このレモン,ちょっとビタミンCを抜いてください」
最近,栄養が気になる健康志向の主婦に朗報.肉やフルーツからミネラル,ビタミン,カロリーをその場でカット.氾濫する栄養に一石を投じるスーパーだ.

「あれ,今日はいつもより暑いなあ.ああ,しまった,長そで着て来ちゃったよ」
そんな貴方に朗報.袖カットの実演だ.長そでの余計な部分をサックリカット.切った袖を被ってみれば,ちょっと小粋な帽子になる.半そでと小粋帽子でオシャレ完了.
街のオシャレ泥棒,正体は君だ.

「もう少し小顔なら,あたしもモテ顔なのに……」,「ああ,このでかい顔を何とかしたい」.
そんな婦女子の皆さんに朗報.顔面カットの実演だ.かんな的な物で表面を削り,ヤスリ的な物で肌を滑らかに.巨大な顔がみるみる小顔.オシャレさんがまた一人誕生.
街のオシャレ泥棒,正体は君だ.

「呼吸に邪魔だよなあ」,「これいらないと前から思ってるんだよなあ」.
呼吸の効率化を目指す紳士に朗報.鼻の穴の仕切りのカット実演だ.ニッパで二つの鼻の穴の間の仕切りをカット.少ない呼吸で酸素が一杯.一度に沢山の空気が吸える爽快感.

片思いのあの娘に告白できずに終わった高校生活.レギュラーになれずに引退した部活.
そんな未練を引きずる大人に朗報.悔しかった思い出カットの実演だ.悔しかったあの日をすっぱりカット.期せずしてもう一段上る大人の階段.

少し気に入ったけど,この先使わなさそうなので,最後にもう一度書いておく.
街のオシャレ泥棒,正体は君だ.

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September 07, 2006

トイレにブレスト

学生の頃はほとんど使わなかったが,社会人になって時々使うようになった言葉がある.「ブレインストーミング」略して「ブレスト」がその一つだ.ブレストとは,みんなで集まり,気楽に意見を出し合うミーティングだ.しかし,ブレインストーミングという名前はどうなのだろう.ブレインがストーミング.脳が荒れる感じだ.ブレストの本来の意味は何なのだろう.

東京都北区にできた新しいマンション「ブレスト北赤羽」.家族の愛をテーマに建設されたマンションだ.リビングに溢れる家族の笑顔,ダイニングに満たされる家族の安らぎ.今,未来のライフスタイルの扉が開く.

秋深し 隣は何を ブレストぞ
 松尾芭蕉
[解釈]
秋も深まってきた.隣の人はきっとブレストしているんだろうなあ.秋の寂しさとブレストを詠んだ名句.

スペインのアンダルシア生まれのスポーツといえば,ブレストだ.11人のチームがお互いに向き合って,激しく左右に尻を振るスポーツ.競い合うのはお互いの心意気.お子さんからお年寄りまで楽しめるスペインの国民的スポーツ.ハラハラドキドキ,ブレインをストームする感覚とはこのことだ.

「只今の決まり手,ブレスト投げ,ブレスト投げで腰ノ海の勝ち」
国技館に流れる取組の結果と決まり手のアナウンス.今場所から決まり手として登録されたブレスト投げが早くも登場.自分のマゲで相手のマワシを引っ掛けて投げる大技だ.

「うわー,お父ちゃんのブレスト大きいねえ」
銭湯で大声を出す息子.
「馬鹿,何をいうんだよ」
慌てる父親.

会社で開かれるブレスト.北赤羽のライフスタイルなのか,スペインのスポーツなのか,それとも相撲の決まり手なのか,それともあれなのか,はっきりさせて欲しいと思う.
ところで,考えてみると松尾芭蕉の「芭蕉」とは,今でいう「バナナ」のこと.つまり,松尾バナナ.遠い存在だと考えていた俳人が,実は近くにいた.

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September 05, 2006

知られざる現代の名工 3

真岸流一刀彫職人 真岸庄衛門

日本におけるCDの歴史は古い.CDが歴史に初めて登場したのは西暦650年頃だといわれている.昨年,正倉院に収められている宝物の中からCDが発見されて話題になったことも記憶に新しい.今回の「現代の知られざる名工」は,手彫りCDで有名な真岸流一刀彫の職人,75代目真岸庄衛門さんにお話を伺った.

「最近,マキシCDってのがあるでしょ.あれって本当は真岸CDっていうんですよ.最近のものじゃあない昔からあるんだよ」
真岸庄衛門さんは,初めにこう語った.
「でもねえ.本物の『マキシCD』ってのは少なくてねえ.見かけるCDの9割りは偽者だよ.みんなプレスで作った偽者ばかりだよ.本当の『マキシCD』ってのは,手彫り.職人の魂が音と一緒に入っているんだよ」

真岸流のCDは樹齢30年以上のケヤキから彫りだす.
「やっぱり.30年ケヤキとして生きていないと,音としての深みが出ないよね」
真岸さんはケヤキの幹を輪切りにしながら語る.薄く輪切りにしたケヤキは,年輪の中心部分をCDの半径60mmよりやや小さめの円形に切る.
「ここで60mmぴったりに切っちまうと規格に収まらねえ.後に箔と塗りの作業が控えているあるからね.でもその前に一番大切な彫りがある」
真岸さんは,音楽会社から送られてきたテープを聴きながら,ケヤキの表面に耳からの音を頼りに勘だけで彫刻刀を使って一つ一つ凹凸を付ける.職人だからこそできる精密な作業である.
「俺もこれができるまでに彫りで20年かかったよ.師匠でもあった親父に殴られながら覚えたっけなあ.この世界じゃ,『彫りで20,箔5年,仕上げの漆で2年間』っていうくらい彫りが大変なんだよ」
とはいえ,どんな熟練した職人でもCDが完成してみると一枚一枚微妙に音が違うのだそうだ.この違いが本物の「真岸CD」の良さである.
「彫りあがったら,箔だね.これも油断できねえ.これで台無しになっちまうこともある」
薄く延ばした金箔を彫りあがったケヤキの表面に貼り付ける.彫った凹凸を埋めないように細心の注意が必要だ.
「そして,最後.塗りだね.仕上げに漆から抽出した透明な液を塗るんだ.この漆で,CDを保護するんだよ」
CDの表面に漆を塗り,乾かす.
「5回乾かしては塗りって作業を繰り返す.最後に一晩陰干しすれば,CDが完成だ」
真岸さんはCDの真ん中の穴に棒を通して陰干しにする.
「このCDの真ん中の穴ってのは,こうやって棒を通すためにあるんだよ」
真岸さんは解説しながらCDを完成させたが,この間僅か1分.
「親父は一人で一日に50万枚のCDを作ってたけど,俺はせいぜい45万枚だな.まだまだ一人前っていえねえな」
真岸流一刀彫の道は厳しい.

本物とはいえない「マキシCD」が氾濫する世の中.
「そのCDの溝に魂はこもっているのか」
真岸さんは最後に語ったこの言葉.この言葉に,便利になる世の中で捨ててはいけないものの神髄が詰まっている.

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