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December 21, 2006

好漢日記

あまり見なくなった気がするが,今でもサッカーでは試合後にユニフォーム交換をしているのだろうか.汗で湿ったユニフォームを健闘を称えて相手チームと交換.爽やかさの中にある確かな湿り気だ.
そんなサッカーのユニフォーム交換であるが,サッカー以外でも「……交換」なるものがあまり知られていない.

「ナイス商談」
そんな声と共に取引先の担当者からネクタイが差し出される.サラリーマン名物ネクタイの交換だ.まとまった商談を称え,お互いのネクタイを交換.

「ナイスアルペン」
山道ですれ違う山男達の合言葉.「ナイスアルペン」の言葉で交換するのは,お互いのピッケル的な物だ.ピッケル的な物に託して交換される山男の心.登る道の数だけ下る道がある.そんな山男達の熱い思い.

「ナイス肥料」
畑仕事をする北村一さんに農協の山倉さんから声が掛かる.北村さんの作物への優しさ,畑への情熱,その全てが集約された肥料撒き.山倉さんが北村さんを褒め称え,北村さんはいつも世話になっている農協の山倉さんを労う.そんな北村さんと農協の山倉さんがトラクター交換.美しい日本の農業ここにあり.

「ナイス武士」
そんな声と共に差し出されるマゲ.戦国時代に戦場で流行ったマゲ交換だ.自分の頭頂部に乗ったマゲを取り外して相手のマゲと交換.貰ったマゲをちょんと頭頂部に乗せ,お互いの健闘を称えあう.勝ちとか負けとかを超えたところにあるアタッチメントちょんまげの便利さ.

「ナイス産卵」
卵を産む鮭に隣の鮭から声が掛かる.幾多の困難を乗り越えてついに産卵場に辿り着く鮭.そんな鮭がお互いの頑張りを称えあい,新巻を交換.鮭の新巻交換だ.産み落とした卵たちの成長を願う母達の愛情.

健闘を称えての「……交換」は,サッカー選手だけの特権じゃない.敢えて謂うなら僕達みんなの特権なんだよ.

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December 12, 2006

入ります

レジで一万円を出すと「一万円入ります」と店員が言うことがある.これはどういうことだろう.差し出した一万円はどこへ入るというのだろうか.レジに入ると解釈していいのだろうか.果たして本当にそうなのか.「レジに入る」と断言できる人はいないと思う.ならば,どこへ入るというのだろう.

課長との不倫に嫌気が差してきたOLサチコ(31歳).
「あーあ,誰かあたしと結婚してくれる人いないかなあ」
そう呟いてみたところで,結婚してくれる人は現れない.そんな時,サチコがふと立ち寄ったコンビニエンスストア.レジで差し出す一万円札.
「一万円入ります」
アルバイトの青年の爽やかな笑顔と澄んだ声.サチコの心が癒される.一万円がサチコの心の隙間に入った瞬間.

パパとママは仲が悪い.今日も毎度お馴染みの夫婦喧嘩だ.
「パパ,ママ,止めてよ.もうケンカするのは止めてよ」
パパとママのケンカを止めようと必死の子供.そんな子供の最終兵器.
「パパ,ママ,一万円入ります」
冷え切った夫婦の間に入る一万円.
「ごめん,ヨシオ.パパとママが悪かったよ」
子供の放つ一万円が取り持つ夫婦仲.子は鎹とはよく言ったものだ.

高校野球地区予選の決勝戦で惜しくも敗退.グラウンドで涙を流す同級生の野球部員.それを見ていた女子生徒の頬を涙が伝う.
「やだ,あたし,目に一万円入っちゃった」
今までの厳しい練習.報われなかった努力に一万円入ります.

「おっ,オヤジ.今日の焼き鳥はうまいね」
常連の客が焼き鳥屋のオヤジを褒める.
「いやー,今日は一万円が入っているもんでね」
オヤジ考案の焼き鳥.鶏肉とネギの間に入った一万円.ネギと鶏肉の旨味を引き立てる.

「やばい,敵が来た」
慌てて殻に逃げ込むカタツムリ.
「あれっ,あれっ.おかしいな,殻に体が収まらないよ」
殻と身の間に入り込んだ一万円.カタツムリのピンチを助けてはくれない.

どう考えても一万円はレジに入るんだと思います.


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December 05, 2006

21世紀のニューリーダー

「僕らのクラスのリーダー」という歌詞に違和感がある.浦安にあることで有名な遊園地のメインキャラクターのテーマソングに出てくる歌詞だ.歌を聴く度,何様のつもりだと思う.
例えばクラスに転校生がやってきたとしよう.
「今日は皆に転校生を紹介する.アメリカからやってきたミッキー君だ」
「やあみんな,ミッキーだよ.今日から僕がクラスのリーダーだ」
かなり面倒くさいのが来たなと思う.
例えからも分かると思うが,僕らは誰一人としてクラスのリーダーを必要としていないということだ.しかし,こう云ってしまってはアメリカからせっかくやって来たミッキーの立場がなくなってしまう.ここは彼に僕らのクラスの中でポジションを与えてやるのが,クラスメイトとしての優しさではないだろうか.

「ミッキー,お腹すいたよ.これじゃあ授業に集中できないよ」
「あいよ,トロの炙り焼きの握りお待ち」
アメリカ生まれながら日本の老舗の寿司屋で10年修行.「僕らのクラスの寿司職人」だ.急な空腹にスピードで対応.
「ありがとうミッキー」
口の中でとろけるトロの脂の心地よさ.

「ミッキー,俺,喉渇いたよ.これじゃあテスト問題が解けないよ」
「じゃあ,これを飲みなよ」
テスト中の急な乾燥にも対応.「僕らのクラスの浄水器」.メンテナンスフリーの頼もしさ.

「ああっ,痛い.シャンプーが目に入った」
授業中の急な頭の痒さ.我慢できずにすかさずシャンプー.しかし,シャンプー泡が瞳を狙う.
「助けておくれ,ミッキー」
「任せてくれよ」
滴り落ちるシャンプー泡を目に入る前にシャットアウト.「僕らのクラスのシャンプーハット」.爽快な頭皮で授業に集中だ.

「何か最近栄養が足りていないような気がするなあ」
そんなクラスメイトの呟きに反応するミッキー.
「君,僕を忘れてないかい」
畑の牛肉大豆,「僕らのクラスの牛肉ミッキー」だ.栄養の権化がここに現れる.

僕らのクラスの隙間に入り込むミッキー.気が付けば,僕達は彼がいなければなにも出来なくなっているのかもしれない.それがリーダーだと気づかされる僕達だ.

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