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January 23, 2007

自分探し

「自分探しの旅」って何だよと思う.自分探しの旅に出て何が見つかるというのだろう.やはり「本当の自分」というやつだろうか.見つかるものが「本当の自分」だとしたら,今の自分は偽の自分なのか.まあ,何が見つかってもいいのだが,見つかるのが意外な本当の自分だったりするのだと思う.

中学二年生の山本タモツ君.本当の自分に悩み,自分探しの旅へ.そんな自分探しの旅で探し当てたのは,猿である自分.人間だと思っていたが実は猿であることが判明.タモツ君は悩んだ結果山へ帰ることを決意.
「タモツ,体には気を付けるんだぞ」
「タモツ君,元気でねー」
両親とクラスメイトの声を背に山へ帰るタモツ君.
「もう,俺はタモツじゃない.名のないただの一頭の猿だ」
覚悟を決めた立派な言葉に息子の成長を見る両親.知らないうちに子供は大人になるんだなあ.両親の嗚咽が山々に響き渡る.

ニートの北村一君.部屋の中で自分探しの旅.結果自分が「USBデバイス」である事が判明.右手の小指でUSBスロットに接続.PCに繋ぐと表示される「新しいデバイスが見つかりました」のダイアログに感動が湧き上がる.「新しい自分がみつかりました」と読み替えても良い.本当の自分がPCにも認識される喜びがここにある.USBで充電だってできるんだ.ひとりでできるもん.

大学卒業を目前に就職先が決まらない関根花絵さんが自分探しの旅へ.そんな旅先で自分が妖怪小豆洗いであることが判明.「そういえば花絵は昔から気が付けば小豆を洗っていた」と両親の証言も飛び出す.
就職先は小豆洗いに決定.久しぶり新入社員に森の妖怪達の期待も膨らむ.

修学旅行先の奈良で自分探しの丸和太郎君.本当の自分は次期奈良の大仏であることが判明.すれ違うおばあちゃんが「ありがたや」と手を合わせる.
奈良の大仏が撤去され,代わりに座る丸和太郎君.「こいつは大きな仏になるぞ」と東大寺の住職も新しい仏に期待を寄せる.今はまだ小さい人間サイズの丸和太郎君.小仏から大仏への成長へ向けた一歩は踏み出したばかりだ.

思春期真っ盛りの下村タカシ君.自分探しの旅で,本当の自分は「女子がトイレにもって行く小さなポーチ」であることが判明.
意外な自分の正体に衝撃のドキドキ.一体自分に何が詰められるのだろう.ファンタジーという名の小物だろうか.ブレーキの壊れた下村君の思春期特急は止まらない.

本当の自分探しで見つかるどうでもいい自分.そんな自分でも同じ宇宙船地球号の一員だ.

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January 18, 2007

泣いてばかりいる

タイトルは分からないが,童謡に迷子の子猫ちゃんの歌がある.住所を聞いても名前を聞いても泣いてばかりいる子猫ちゃんに犬のお巡りさんは困ってしまうというあの歌だ.
この歌で子供達に伝えたいことは何なのだろう.歌は最終的には何も解決されないまま,うやむやの内に終わってしまう.哀れな迷子の子猫ちゃんは,一体どうなってしまったのだろう.

「ついにインドが見えたぞ」
帆船のマストから望遠鏡を覗き,船員達に大声で伝える男.この男こそアフリカの喜望峰を通過しヨーロッパからインドへの航路を開拓した男,家に辿り着けず世界を股に迷子を続けた子猫ちゃん,バスコ・ダ・ガマ,その人である.

「昔はあたしも迷子の子猫ちゃんなんて呼ばれて浮かれていた時代もあったわねえ」
そう語るのは伊香保の温泉街の外れにある秘宝館で受付する下村芳江(仮名)さん73歳.
「あの時の犬のお巡りさんは今じゃあたしのダンナをやってるよ.耄碌した爺さんだけど,昔はいい男でねえ.困ってる姿にぞくぞくしたもんだよ.もっとも,あたしも今じゃ耄碌した婆さんだけどねえ.ひゃひゃひゃ」
芳江さんの顔に深く刻まれた皺に迷子の子猫ちゃんの面影は全くない.

世界に散らばる七つの肉球.全ての肉球を集めると,迷子の子猫ちゃんが出てきて困り果てるという.

「本当に大丈夫なのか」
「うん,大丈夫ニャー」
太郎君は保護した迷子の子猫ちゃんをペットボトルロケット発射装置にセット.
「じゃあ,いくよ.3,2,1,発射」
「ニャー」
水を噴射し飛び出す子猫ちゃん.子猫ちゃんは晴れ渡る冬の空を気持ち良さそうにいつまでも飛んでいたそうな.

いつだって都合の悪いことからうやむやの内に逃げてしまって来た僕達.世の中逃げてしまった方がいいこともたくさんあると思う.

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January 11, 2007

靴下の人

何故サンタクロースは靴下にプレゼントを入れるとされているのだろう.靴下は足を包む物であってプレゼントを包む物ではないはずだ.しかし,サンタクロースは靴下にプレゼントを入れる.何故だろう.恐らく一般的には知られていないが,逸話のようなものがあるはずだ.

「サンタ君,ちょっと体育館の裏に行って欲しいんだけど.いいかな」
クラスの女子に体育館裏へ呼び出された高校生のサンタクロース.そこで待っていたのはサンタクロースが憧れていたマサコさんだ.
「サンタ君,これ読んで」
マサコが差し出したのは靴下の中に入ったラブレター.
「えっ,本当に俺に」
「うん.返事は明日でいいから」
後に妻となるマサコさんとサンタクロースの甘酸っぱい物語.
サンタクロースは青春の一ページを心に留めるため,今は亡き妻マサコを想ってクリスマスプレゼントを靴下の中へプレゼントを滑り込ませる.プレゼントを滑り込ませる度に流れる涙.プレゼントの入った靴下はちょっぴりしょっぱい味がする.

夏休みの家族旅行で青森県を訪れたサンタクロース.「職場の同僚達にお土産を」と土産物屋を物色する.そんな時に出会った青森名物靴下漬け.大根を靴下に入れて5年間寝かせて醗酵させた漬物だ.
「これはうまい」
試食の一口で癖のある酸味の虜となるサンタクロース.
「ひょっとしたらプレゼントも靴下に入れれば良い感じになるのではないだろうか」
そんなサンタクロースの思いつきでクリスマスプレゼントは靴下の中へ.自分が青森で出会った醗酵.その喜びを子供達へ.

夜道を歩いているところを強盗団に襲われたサンタクロース.サンタクロースは素早く靴と靴下を脱ぎ,脱いだ靴下を手にはめて襲い掛かる強盗達を次々となぎ倒す.
「いやー,危なかった.靴下がなかったら死んでいたかもしれん」
それ以来靴下への感謝の気持ちを忘れないためにクリスマスプレゼントは靴下の中へ.サンタクロースが子供達へ渡したいのはプレゼントだけではない.たとえ強盗団であっても立ち向かう勇気だ.

昔々のお話.ある所におじいさんとおばあさんが住んでいた.ある日,おばあさんは川へ洗濯に行くとドンブラコドンブラコと靴下が流れてきた.おばあさんは靴下を拾い,家に帰っておじいさんと一緒に靴下を割ったところ,中から男の子が出てきた.
その男の子こそ後にクリスマスにプレゼントを配ることになる靴下から生まれた靴下太郎,略してサンタクロースだ.

靴下を 冷やし中華に トッピング
--松尾芭蕉(サンタクロース)

切っても切れないサンタクロースと靴下の関係.サンタクロースは靴下の精霊といえるかもしれない.

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