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August 28, 2007

ダイヤ

ビールとかお菓子だとかが「モンドセレクション」最高金賞受賞しただのしてないだととテレビCMで言ったり言ってなかったりしている.しかし,私はモンドセレクションが何だか知らない.何処で誰がやっているセレクションなのか,何を以って金賞,最高金賞とするのか.さっぱり分からない.何なのだろう.

川越に住む丸和さんのお祖父ちゃんは,若いときにモンドセレクションにノミネートされて凄かったらしい.川越市は,そんな丸和さんのお祖父ちゃんに名誉市民の称号を授与.今でも市長がお盆と正月に挨拶に来ているとのことだ.

一説によると,モンドセレクションが始まったのは,1580年,今の埼玉県大滝村だと云われている.現在のモンドセレクションは,パリコレでコレクションした物をモンドセレクションで選別するという一連の流れが確立され,いわばコレクションの中からの「おしゃれ探し」である.しかし,開催された当時は,村一番のおしゃれ泥棒を見つけ出すことが目的であり,「おしゃれ泥棒探し」であった.ここでセレクションされたおしゃれ泥棒は日本全国を旅し,……
---ファッションの歴史 亀田源太著(知恵の友社)より抜粋

「モンドセレクション」
超獣戦隊アニマライザーの必殺技が,アニマレッドの声で発動.空に地獄への入り口が開き,竜巻がその場にいる中から適当にセレクトして吸い上げる必殺技だ.前回の発動時に犠牲になったアニマグリーン,前々回に犠牲になったアニマビリジアンを想いつつ発動.最近,緑系の隊員が犠牲になるケースが多いので,アニマモスグリーンは半泣き気味だ.

新鮮なキュウリを塩で揉んでモンドセレクションに漬ける.一週間ほど冷暗所に置いておけば,しっかり味の付いたキュウリのモンドセレクション漬けが出来上がる.ホカホカご飯にキュウリのモンドセレクション.モンドセレクションの香ばしい風味が食欲を煽る.

「掃除するときはだね,チヨコさん」
お義母さんが授ける生活の知恵.
「こうして,水で濡らしたモンドセレクションを床に撒いて箒で掃くと,床が見違えるように……」
年寄りの知恵袋に入っているモンドセレクション.
「あたしはね,戦後の混乱期もモンドセレクションで生き残ったんだよ」
お義母さんが背負って生きてきたのはモンドセレクション.義母から嫁へ,モンドセレクションは受け継がれる.

日本人なら心の奥にモンドセレクション.モンドセレクションの精神は健全な心に宿る.

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August 24, 2007

ちらし

会社の最寄り駅は比較的大きな駅のせいか,駅前でビラやら,割引券やら,ティッシュやら,無料情報誌やら,いろいろな物が配られている.たいていはいらない物なので,配布人に差し出されても貰うことなく素通りをする.
もらわずにただ素通りするときは何の罪悪感もなく通り過ぎることができるのだが,たまに,配布人の前を素通りするとき,差し出す配布人と目が合ってちょっと気まずい思いをすることがある.配布人の「何だよ,受け取らないのかよ」という眼差しが凄く気まずい.悪いことはしてないはずなのだが,悪いことをしたような気になってくる.恐らくは,自分だけでなく,皆そう感じるのではないだろうか.
通行人が,そんな変な気まずい思いをしなくてもいいような配り方はないだろうか.

「あの,これ,後で読んでください」
顔を赤らめた女子中学生が封筒を渡し,走り去る.封筒の中に入っているのは,居酒屋オープンのチラシ.

「はい,お待ち」
寿司職人が通行人の口に握りたての寿司をねじ込む.割引券をネタに握った寿司だ.

「明けましておめでとう」
とお祖父ちゃんが孫へと渡すポケットティッシュ.

お盆にお祖母ちゃんのお墓参り.
死んだお祖母ちゃんを思い出して供えるチラシ.

「おやつは戸棚に入っています」
食卓に置かれた母親の書置き.戸棚に潜む無料情報誌.

卒業アルバムのページをめくり,昔を懐かしむ.
卒業アルバムにはさまれているのは居酒屋のチラシ.

「はい,お客さん,日替わり定食ね」
運ばれてきた日替わり定食.今日の日替わり定食はポケットティッシュの唐揚げ.

「ハックション」
くしゃみと共に鼻から出てくる無料情報誌.

全く関係ないが,寿司屋で出される「ちらし寿司」と家庭で作る「ちらし寿司」は全くの別物だと考えた方がいいと思う.

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August 15, 2007

そこに私はいません

遅ればせながら,最近になってやっと「千の風になって」なる歌を初めてフルコーラスで聞いた.この歌は,元々はアメリカで近親者が死んだ際に追悼でよく読まれる詩であり,この詩の日本語訳に曲をつけたものだそうだ.
今まで断片的にこの歌を聞いた限りでは,トイレでこの歌をBGMとして流したら,さぞ爽快に成果物を出すことが出来そうだという印象を受けた.しかし,残念ながら内容は大きく懸け離れていた.「死んでしまった私はお墓にはいません.私は風やら星やらになっています.なのでお墓の前で悲しまないでください」のような内容で,トイレとは全く関係ない.尤も内容は別にすれば,歌の佇まいはトイレのBGMにはぴったりだと思うが.
そんな風やら星やらになった死んだ人は,世の中のいたるところにいるのだと思う.

夏真っ盛り,夏休みを利用して丸和さん一家は海へやって来た.一年ぶりの海にはしゃぐ太郎君(8歳).そんな太郎君は,はしゃぎ過ぎてナマコを踏んづけてヌルッと滑って頭から海の中へドボン.水の中で太郎君の目に映る海底にはりつくナマコ.ナマコに感じる1年前に死んだお祖父ちゃんの佇まい.
「お祖父ちゃんこんなところにいたんだね」
お祖父ちゃんは海の中で人知れずナマコとして存在しています.だから私のお墓の前で泣かないで下さい.そこに私はいません.

ダンゴ虫が好きな丸和太郎君(8歳).今日も太郎君はダンゴ虫採りに夢中だ.石の下に隠れるダンゴ虫を採ろうと引っくり返した石の裏に見覚えのある佇まい.
「お祖父ちゃんこんなところにもいたんだね」
ダンゴ虫と一緒に群れるお祖父ちゃん.
お祖父ちゃんはダンゴ虫とうまくやっています.私のお墓の前で泣かないで下さい.そこに私はいません.

丸和太郎君(8歳)はお父さんと一緒にお出かけ.駅で電車を待っていると,千の風が近くの若いおねえさんのスカートを巻き上げる.スカートの中に見覚えのある存在感.
「あっ,お祖父ちゃん.そこにもいたんだね」
お祖父ちゃんは若いおねえさんのスカートの中で楽しくやっています.私のお墓の前で泣かないで下さい.そこに私はいません.

生まれつきちょっとお腹が弱い丸和太郎君(8歳).でも最近は何だかお腹の調子がよい.何故だろう.
「ひょっとしてお祖父ちゃんのお陰かな」
太郎君の腸の中で調子を整えるお祖父ちゃん.
お祖父ちゃんは乳酸菌と協力してやっています.私のお墓の前で泣かないで下さい.そこに私はいません.

「今日の夜御飯はご馳走よ」
夕食の準備を整えた丸和太郎君(8歳)のお母さんは,食卓へ家族を呼ぶ.今日の夕食は太郎君の大好きな『お祖父ちゃん飯』だ.今日は魚市場で新鮮なお祖父ちゃんをたくさん手に入れたお母さん.夏に産卵期を迎えるお祖父ちゃんは今が一年で一番おいしい時期.大きさも10cmくらいの食べ頃サイズのお祖父ちゃんだ.
新鮮なお祖父ちゃんを一口サイズに切り,酒,醤油,みりんで下味を付ける.片栗粉をまぶして160度の油でじっくり揚げる.御飯の上に適当な数の揚げたてお祖父ちゃんをのせて,熱いだし汁をかけると『お祖父ちゃん飯』の完成だ.プリプリとしたお祖父ちゃんの食感と迸る肉汁.
「お祖父ちゃん,おいしいね」
お祖父ちゃんが太郎君の栄養となる.
お祖父ちゃんは熱々の御飯の上にのっています.私のお墓の前で泣かないで下さい.そこに私はいません.

ある時は排水口のぬめりとなり,またある時は路上に放置された軍手となり,そして時には娼婦のように.私のお墓の前で泣かないで下さい.そこに私はいません.

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August 10, 2007

増粘剤

この夏,一番注目の食品添加物といえば,ゲル化剤のペクチンだ.正体は何だかよく分からないが,結構いろいろな食品に含まれている.ちょっぴり愉快な感じの響きを持つペクチン.一体何だろう.

千葉にあることで有名な,あの東京ネズミ園に新たな人気者が加わったぞ.新しい仲間の名前はペクチン,どろっとした液体に毛が生えたような生き物だ.ちょっとねっとりした触り心地が癖になる僕らの友達.特技は物をゲル化させることだよ.

新しい担任がやってくる教室.
「今日からこのクラスの担任の丸和太郎だ.得意な事はゲル化だ.みんなよろしくな」
謎の担任の登場にざわめく生徒達.その直後から,生徒達に『ペクチン』とあだ名される丸和先生.そして,「ペクチン野郎」と「あの教師,今日も授業中ペクッてるんですけど」と陰口を叩かれる丸和先生.3年B組ペクチン先生.ねっとりした感じの学年主任だ.

ウルトラマンペクチン.怪獣をゲル化して倒す正義のヒーローだ.構えると体中の穴からどろっとしたした水飴状の汁が飛び散る.口や鼻,毛穴からダバダバと汁が飛び散る.それが唯一の技.気持ち悪がって逃げまどう怪獣.従来のウルトラマンよりもちょっと怪獣よりなウルトラマン.倒す方,倒される方,どちらも紙一重だ.

沖縄のおばあちゃんの知恵.
「東京の人は何も知らないんだねえ.夏はペクチンだよ」
暑い日差しの日には,ペクチンを露出部に塗る.ヌルッとした中に感じる確かなヒエ.ヌルヒエのペクチンだ.琉球王国時代から受け継がれた生活の知恵.暑い夏はこれで乗り切れ.今年の夏のキーワード「ヌルヒエ」.今年の夏はこれで決まりだね.

Nancy: "What is this?" (これは何ですか)
Takeo: "This is a pectin. (これはペクチンです)
Nancy: "Are you a pectin?" (あなたはペクチンですか)
Takeo: "No, you are a pectin rather than I am." (いいえ,むしろあなたのほうがペクチンです)
-----中学1年英語の教科書より

ペクチンのことを考えると夜も眠れず,目からペクチンを流して枕を濡らすお年頃.

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August 07, 2007

冷やし中

夏真っ盛りの今の時期,冷やし中華盛りでもある.しかし,私は冷やし中華が好きではない.トッピングされたキュウリやら,ハムやら,卵やらがのっている麺と一緒に食べる.うん,別においしくない.
今まで何度も冷やし中華を食べたことがあるが,おいしいと思った事はない.個人的には今年こそは冷やし中華仲間に入りたいと思う.冷やし中華をおいしく食べる方法はないだろうか.

街のラーメン屋にて.おばちゃん店員とサラリーマン風の客の会話..
「はい,冷やし中華注文のお客さん.お待ちどうさま」
「はい,どうも」
「いやー,お客さん.営業のお仕事かい.こんなに暑いと大変よねえ.いつものトッピングの他に,あたしの優しさをトッピングしておいたから」
優しさがトッピングされた冷やし中華.「冷やし優しさ」といってもいい.去り際にウィンクするおばちゃんの色っぽさと,厨房から投げかけられる旦那からの嫉妬の視線.

家に帰って一人きり.そんな寂しい夜.平家物語を読みながらコンビニで買った冷やし中華を食べてみる.
何だか元気が出てきた.

今日の調理実習は「冷やし中華」.女子達は授業が終った後,意中の男子に冷やし中華をプレゼントだ.
「これ,調理実習で作ったんだけど,余っちゃったからあげる」
「あ,ありがとう」
「余ったからあげるんだからね,誤解しないでよ」
そんな冷やし中華の麺にトッピングされたハムとキュウリ.その間に挟まれた便箋が一枚.
『本当はこの冷やし中華はあなたのために作ったの.付き合ってください』
麺と具の間,キュウリとハムの間,ためらいと勇気間に挟まれた一枚の心.恋する女子の味方,冷やし中華だ.

出来立ての冷やし中華を布に包んで絞る.流れ出た中華汁を傷口に塗る.傷の治りが早い.知らないお婆ちゃんが言ってた.お婆ちゃんの知恵袋だ.

得体の知れない冷やし中華.今年も冷やし中華は食べないと思う.

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