« November 2007 | Main | January 2008 »

December 19, 2007

味エビ

「甘エビ」という名前にだまされているのではないだろうか.よく味わってみると甘くないと思う.
目を瞑り舌に神経を集中して甘エビを味わう.甘エビを味わいつつ,砂糖の味を想像する.甘エビのねっとりとした食感が甘さに似ているが,甘さではないことが分かる.
「甘エビ」という名前で「甘さ」をアピールされて頭に刷り込まれ,甘いと思っているから甘く感じてしまうのだと思う.
しかし,名前に騙されるのはよくあることだと思う.

厳しいと評判の高校バレーボール部の鬼コーチ,川北.部員達は次々と辞め,バレーボール部は廃部の危機.
そんな危機を乗り切るために川北は,「甘川北」に改名.
部員達には「コーチって前よりやさしくなったいうか,甘くなったよね」となかなか好評.
厳しい練習内容はそのまま,でも甘さを導入.甘川北の奇策に翻弄される部員達.甘川北の一人クイック攻撃がバレーボールコートに炸裂だ.

深海で新生物を発見.深海からの贈り物,「甘ナマコ」だ.酢に和えて食べると甘酸っぱい甘ナマコ.思い出されるのは思春期の甘酸っぱい日々.そういえば,あの頃の自分はナマコみたいだったと,ナマコを見つめて涙を滲ませる.胸の奥まで
海が深い懐に隠した神秘の甘さ,甘ナマコ.

自室に引きこもって15年の丸和太郎(35歳).未だに外に出て行く勇気が出ない.自室で同じことの繰り返す日々.そんな毎日に変化を付けようと額に「甘」と書いてみた.
何だかちょっぴり人気者になれる気がした.

「甘さを前面に押し出してかわいこぶりやがって」,「エビの癖にスイーツ気取りかよ」,「お前の大きさなら,女,子供の小腹を満たすにはぴったりサイズだろうよ」と以前から甘エビのことを苦々しく思っていた海綿.
そんな海綿が心機一転,海コットンと可愛さを強調した名前に改名.「海コットンかわいい」とたちまちみんなの人気者に.岩場にキュートに張り付くその姿に黄色い声が飛ぶ.
波に揺れる海コットン.妬みから開放された海コットンの心に芽生え始めた優しさ.後に,その優しさを称えて「甘コットン」とさらに名前が変わることになるのだが,それはまた別の話.

「甘エビ」.姿や習性を超えて,味が名前に持ってしまったエビ.初めに味ありきの悲しみのエビともいえる.

| | Comments (2)

December 07, 2007

汁とハット

個人的に,シルクハットにちょっとした憧れのようなものがある.あんなに素敵な帽子を一度はかぶってみたい.残念なことに周りにシルクハットをかぶっている人がいないせいか,いつどんなときにかぶればいいのか,よく分からない.紳士の象徴シルクハット,いつかぶるべきなのか.

敵の撃った銃弾を受けて倒れる戦友.息も絶え絶えに最後の言葉.
「俺としたことがミスちまった」
「おい,しっかりしろ」
「最後に頼みを聞いちゃくれないか」
「お前は最後じゃない.しっかりしろ」
「こ,こいつを俺に被せちゃくれねえか.頼む」
戦友が懐から取り出したシルクハット.それを親友の小粋に乗せる.
「これでいいか」
「すまねえ.故国の娘にゃ,オヤジは最後まで紳士だったって言ってくれねえか」
その言葉を力尽きる戦友.力の抜けた戦友の体を抱き,形見のシルクハットを「紳士」という言葉と共に娘へ必ず届けると心に誓う.そんな彼もまた紳士なのであった.

「ちょっと小腹が空いたな」と思うビジネスマンの午後3時.
小粋にかぶっているシルクハットをサクッと一口.口の中に溢れる香ばしさ.ゴマの香りが鼻腔をくすぐる.小腹が満たされる確かな思い.ディナータイムまでしっかり胃に残る腹持ちの良さ.
紳士,かつビジネスマンの味方シルクハット.それさえあれば何もいらない.

昔,ギリシャのイカロスは,蝋で作ったシルクハット.かぶって一人でご満悦.

ボールを追いかけ車道へ飛び出す幼い子供.全速力で子供に迫り来るトラック.運転席で眠っているドライバー.子供の母親は歩道で叫び声を上げる.
そんな緊迫した場面で,どこからともなく幼い子供へ向かって投げられるシルクハット.子供の頭にふわりとかぶさる.
子供紳士誕生の瞬間である.

全く関係ないが,先週は仕事でハワイに出張.聞いているだけで疲れる英語のディスカッションに3日間曝されるちょっとしたいじめの様な日々.楽しげなイメージとはかけ離れてつくられたハワイ像.
とりあえず風呂場で全裸にシルクハットをかぶってお湯に浸かり,疲れを癒したい.

| | Comments (1)

« November 2007 | Main | January 2008 »