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September 18, 2009

買いたい解体

スーパーの店頭で行われることがある「マグロの解体ショー」の良さが分からない.マグロの解体のために,専用の道具や高い技術が必要なのは分かるし,素人が一朝一夕にできることではない.しかし,それをスーパーの店頭でやる必要はない.
ところで「マグロの解体ショー」を見に来た奥様方を始めとした人々は「うぉー」とか,「マグロ,マグロ」とかいう声を上げたりして興奮するのだろうか.だとすれば,「解体」が興奮のポイントであると思われる.解体するのはマグロに限らずともいいのではないだろうか.

「さあ,奥様方,ぜひ見て買って行ってちょうだいよ」
スーパーの店頭で威勢のいい声が響く.職人は,集まった奥様の前で手際よくアンパンをアンとパンに解体.「アンパンの解体ショー」だ.
「アンパン食べたいけど,アンはいらないなあ」という消費者の悩みをスマートに解決.解体したパンを買えばいい.
一方,アンだって捨てたものではない.丸めたご飯をアンで包めば,おはぎに変わる.
さらに,アンとパンをもう一度戻せば,またアンパンになる.「二度包みアンパン」と名前を付ければ,本格的なアンパンみたいだ.
売って嬉しい.買って嬉しい.アンパンの解体ショー.

「さて,サユリは先日,トシエの彼と1泊旅行に行きました」
スーパーの店頭で解体職人が声を上げる.解体職人は集まってきた人々に向かって続ける.
「さて,そんなトシエは,一週間前にサトコの弁当に鼻くそを混入しました.そしてサトコは,サユリの大切にしている指輪を勝手に借りて失くしました」
職人の隣で泣き始める高校生のサユリ,トシエ,サトコの三人.彼女は同じ学校の仲良しグループ.一生の友情を誓いあった仲だ.そんな彼女達を引き裂く「仲良しグループ解体ショー」だ.
裏切り,裏切られて彼女たちは大人になっていく.

スーパーの店頭に殺到するマダム達.その中心で職人が解体するのは,もっとも硬い鉱物の一つとされるダイヤモンドだ.ダイヤモンドを「ダイヤ」と「モンド」に手早く解体.ダイヤモンドは高くて手が出なかったマダムに安心お手頃価格でご提供.
「このダイヤ,なかなかいいわよ」
「こっちのモンドもいいわねえ」
彼女達の心が弾みだす.

朝,森で捕まえた「砂かけババア」を,素早く「砂かけ」と「ババア」に解体.「砂かけババアの解体ショー」だ.
「砂かけ」は手早く炭火であぶり,パックに詰めてお手ごろ価格の100グラム300円.
「ババア」は,森へリリース.「ババア」は数年後には,森の中で「砂かけババア」に戻るので,森の生態系への影響は少なく,環境に優しい.
今日は,家族の食卓に「砂かけ」が上る日だ.

環境に配慮してエコロジーを「エコ」と「ロジー」に解体する職人.それを買い求める主婦達.
エコを家で使っている電気にすりこめば,エコ家電.ロジーは使い道がなければ,生まれてくる子供の名前にでもすればOKだ.山田さんの家の子供なら山田ロジー,エコロジーから生まれたから環境に優しい子になるだろう.

自分でも何が書きたいのかさっぱり分からない.

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September 09, 2009

回転厨司

改めて考えると,回転寿司っておかしい.寿司がベルトコンベアに乗って店内を回っているのだ.何なんだ,これは.別世界の出来事のようだ.
そもそも寿司は回る必要のない食べ物だ.回る必要がないのに回っている.そんな物が寿司のほかにもあるのではないだろうか.

田舎の母からの手紙.
「マサヒロは元気ですか.私は元気です.お父さんが亡くなって七年経ちますが,私はまだ回転を続けています.恥ずかしながらも,この歳になっても回転をしています.マサヒロもたまには帰ってきてください」
正座して居間の中を回る母.それを思い,手紙を握りしめて涙を流すマサヒロ.胸に溢れるのは回転母への思いだ.

ある会社のある部長の話.
その部長の顔を知る者は会社にほとんどいないという.頭が高速で回転しているからだ.首から上の部分が自由に回転するようになっているため,いくらでも回るらしい.
常に頭が高速で回転し,周囲を警戒する回転部長.しかし,社長と会うときは回転が止まるらしい.

「パトラッシュ,もう疲れたよ」
誰もいない大聖堂で静かに目を閉じるネロとパトラッシュ.横たわるネロの隣で静かに,しかし激しく回転を始めるパトラッシュ.
ネロとパトラッシュが安らかに天国に行くかどうかは分からない.しかし,回転パトラッシュがネロを安らかに送り出したのは確かだ.

アフリカの少数民族のンバホ族に伝わる,英雄ソチャンマの伝説.
ソチャンマは,サバンナでヒョウに襲われたとき,激しく回転を始めたという.そして,ヘリコプターのように空へ飛んだということだ.それを見たヒョウは驚き,その場に平伏したという.それ以来,そのヒョウはソチャンマに付き従うようになったという.
回転ソチャンマのヒョウ退治伝説として今でも語り継がれている.
そして,ンバホ族の人々は,ヘリコプターはソチャンマが発明したと信じている.

回転することで新しい市場を開拓した回転寿司.回転することで見えてくる新しいこともある.とりあえず,吐くまで回転してみたい.

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