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November 25, 2010

松ぼっくり,オオイヌノフグリ,アボカド.普通なら迂闊に公衆の面前で言うことが憚られる言葉に由来する言葉を含んでいる.「ぼっくり」,「フグリ」,そして「アボカド」の部分は「陰嚢」や「睾丸」を意味する言葉に由来する.
しかし,これら松ぼっくりのなどを会話に出しても違和感はない.顔を赤らめたりすることもなく,恥ずかしがることなく話をすることができる.
これらの言葉を,言いにくいこと,恥ずかしいことを言うときに使えないだろうか.

高校卒業式を終えた男子高校生が二人,夕陽を見ながら校舎裏で語らう.
「実は,俺さあ,明日から海外に行くんだ」
「そ,そうなのか」
「ああ,海外に行って,俺,アボカドを取ることにしたんだ」
「えっ,アボカドって」
「ああ,アボカドを取って働くことにしたんだ」
「それって,意味が良く分からないんだけど」
「いや,いずれ分かる.それより,俺,お前のことが好きだったよ」
「まあ,俺も,同性の友達として,親友としてお前のこと……」
「これからも,よろしく頼むよ.親友以上の存在として」
「まあ,そうだな……」
明日から海外に行く彼.性転換手術なのか,アボカド農家として一旗あげるのか.彼のアボカドは答えを知っていることだろう.

「ねえ,知ってる」
森の中を二人で歩く男女の高校生.女子高校生が隣を歩く男子高校生に尋ねた.彼らが通う高校の敷地内には小さな森があり,その中をカップルで歩くのが,この高校生の憧れである.
「えっ,何を」
答える男子高校生に,女子高校生は足元にある小さな松ぼっくりの破片のような物を拾って微笑みかける.
「この森にはリスが放し飼いになっているんだって」
「へえ,そうなんだ」
男子高校生はソワソワと答える.彼は,森を歩き始めてから,彼女への初めてのキスの瞬間を狙っていた.今日は都合の良いことに,この森には,偶然にも彼ら二人しかいないようだ.
「リスって,松ぼっくりが好きみたいだよ.リスの丈夫な前歯で松ぼっくりを齧って,こんな形にしちゃうんだって.ほら,芯だけが残ってエビフライみたいな形になるんだよ」
彼女持っていたのは,リスが食べた後の松ぼっくりの芯だった.
「リスは松ぼっくりが好きみたいだよ.リスは隙あらばって狙っているみたい」
男子高校生は,自分が彼女に手を出している隙に,自分の股間の松ぼっくりにリスが鋭い前歯で齧りつくことを想像する.どうやら,この森で彼女に手を出すのは止めた方がいいらしい.
木の上からはリス達が彼の松ぼっくりを狙っているのであった.

電車の中で見知らぬ女子高校生が話かけてきた.
「すみません,失礼ですが,よろしいですか」
「はい」
「その,ズボンのチャックが」
「え,何ですか」
「あの,オオイヌノフグリのオオイヌじゃない方がズボンから…….開いたチャックからこぼれていますよ」
「あっ,ああ,これは失礼しました」
チャックの隙間から顔を見せたオオイヌノフグリのオオイヌのじゃない方.いや,オオイヌに例えても良いかもしれない物.「オオイヌであり,オオイヌではない物,それはなーんだ」.そんななぞなぞの答えがチャックから見える.
そして,非礼を詫びてズボンのチャックをスマートに上げる.男の美学がそこにある.

手紙で校舎裏に呼び出されたタモツ君(17歳).待っていたのはちょっと気になっていたクラスメートのコズエちゃん.恥ずかしそうに「えっと,問題を出すね」と言って顔を赤らめる.
「松ぼっくりにあって,ドングリにない」
戸惑うタモツに彼女は続ける.
「オオイヌノフグリにあって,ヒマワリにない」
「アボカドにあって,バターにない」
「タモツ君にあって,私にないもの.これって,なーんだ」
といって俯く彼女.そんな彼女を見て高鳴るタモツの心臓.コズエちゃん行き恋のリニアモーターカーは本日開業だ.

松ぼっくりのある方の人間に生まれてきた自分.リスの歯の鋭さを改めて認識をする.

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