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February 14, 2011

埋め立て

会社のオフィスには「埋め立てゴミ」と書かれたゴミ箱がある.何を捨てればいいのだろうと考えてしまう.ゴミ箱にゴミを入れる側の人としては,捨てたゴミが埋め立られようと埋め立てられなかろうとどちらでも良い.ゴミに合った最も良い処理の仕方をしてもらえればそれで良い.なので,何をそこに捨てるのかをはっきりと書いておいてもらえればいい.
ひょっとしたら,何を捨てるのかはっきりと書けない理由でもあるのだろうか.ひとことでは説明し辛いゴミ.それならば,それで積極的に活用したい.

「埋め立てゴミ」と書かれたゴミ箱の前で涙を流す山本タモツ(35歳)さん.
タモツさんは,小さな頃から野球が得意で神童と呼ばれ,地元の少年野球団ではエースで4番で大活躍だった.そして,高校は野球の強豪校に入学.甲子園にレギュラーメンバーとして出場し,チームは準優勝.高校卒業後はプロ野球チームに入団した.
自分は野球の天才だと思っていたタモツさんだが,それは間違っていたことに気が付いた.プロ野球選手として活躍するのは,自分よりも遥かに上手い選手達.それでも,タモツさんは頑張ったが,結局一軍の選手になることもなく,二軍で大した成績を残すことなく17年が過ぎた.
タモツさんは,「こんな物があるから未練が残るんだ」と甲子園の土を「埋め立てゴミ」のゴミ箱に投げ捨てる.今年で野球選手はおしまい.来年からは,「盗塁弁当」を売る弁当屋だ.

オシャレに気を使う会社の同僚の長井シゲル(28歳)さん.
彼のチャームポイントは,長く伸ばした特徴的なモミアゲだ.ツヤツヤと光るモミアゲは,見る者の心を逆撫でする.そんな時に活躍するのが「埋め立てゴミ」のゴミ箱だ.
素早くシゲルさんのモミアゲを掴み,有らん限りの力で引っ張り抜く.のた打ち回るシゲルさんを背にしてモミアゲを「埋め立てゴミ」のゴミ箱に捨てる.
明日からは,モミアゲに心を逆撫でされることなく心安らかに働ける.職場の快適な環境作りに貢献する「埋め立てゴミ」のゴミ箱だ.

「埋め立てゴミ」のゴミ箱の前にカモメ第四小学校の小学6年生の児童が集合する.中には啜り泣く女子児童の姿も見える.先生が,児童達を前に声を上げる.
「よし,それじゃあ.みんなの思い出をカプセルに詰めたな」
啜り泣いていた女子児童は声を出し,ざわついていた男子児童はしんとなる.
「捨てるぞ.いいな.お前達は卒業してバラバラの中学に行くかもしれない.しかし,皆で過ごした思い出はこのカプセルの中でいつまでも一つだ」
思い出の詰まったカプセルを「埋め立てゴミ」のゴミ箱に捨てる.ちょっとしたタイムカプセルだ.

「埋め立てゴミ」のゴミ箱に積極的に思い出的な物を捨てていきたい.

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